
今回はシーバー病(Sever disease/踵骨骨端炎)の対処法について解説します。
シーバー病は、成長期の子どもに多い踵の痛みです。走る、ジャンプする、つま先立ちをする動作で痛みが出やすく、痛みが強い場合には歩くときに足を引きずることもあります。
一般的には大きな後遺症が残りにくいとされていますが、痛みが長引く場合もあるため、運動量の調整と段階的なリハビリが大切です。
成長期のスポーツ障害や踵の痛みについて知りたい方は、足部・足関節の痛みをまとめた記事もあわせて確認してみてください。
この記事では、シーバー病の原因、症状、病院での検査、リハビリテーション、スポーツ復帰の注意点を整理していきます。
- シーバー病とはどのような状態か
- 成長期に踵が痛くなる理由
- よくある症状と受診を検討したいサイン
- 踵の痛みで考えたい他の原因
- 病院で行われる検査
- 運動量の調整とリハビリの考え方
- スポーツ復帰の目安
目次
シーバー病とは?
シーバー病とは、踵の骨である踵骨の骨端線・骨端部に痛みが出る成長期特有の障害です(図1)。日本語では踵骨骨端炎とも呼ばれます。
踵骨にはアキレス腱が付着しています。成長期は骨がまだ成熟しきっていないため、走る・ジャンプする・つま先立ちをする動作を繰り返すことで、踵骨骨端部に牽引ストレスや圧迫ストレスが加わり、痛みが出ることがあります[1]。

踵骨の二次骨化中心は7〜9歳頃に出現し、15〜17歳頃に大人の骨として完成するとされています[1]。
そのため、シーバー病は骨が成長している時期に起こりやすく、男子では10〜12歳頃、女子では8〜10歳頃にみられやすいとされています[1]。

成長期の骨端症には、オスグッド病やフライバーグ病などもあります。シーバー病は、一般的には大きな後遺症が残りにくい成長期の踵痛として考えられています。
ただし、痛みが強いまま運動を続けると、症状が長引いたり、運動量を戻すたびに痛みが再発したりすることがあります。
シーバー病では、以前からX線画像で骨硬化や骨の断片化が所見として説明されることがありました。
しかし、シーバー病の選手と同年代の無症状の選手を比較した研究では、痛みがない選手にも骨硬化や断片化がみられることが報告されています[3]。
そのため、シーバー病はX線所見だけで判断するのではなく、問診や痛みの出方、圧痛、片脚つま先立ち、スクイーズテストなどを含めて総合的に評価することが大切です。
シーバー病を起こしやすいシーン
シーバー病は、成長期の子どもに起こりやすい踵の痛みです。特に、走る、ジャンプする、ダッシュする、切り返す動作が多いスポーツでみられやすい傾向があります。
サッカー、バスケットボール、野球、陸上競技、バレーボールなど、踵やアキレス腱に繰り返し負担がかかる競技では注意が必要です。
また、急に練習量が増えた時、硬いグラウンドでの練習が増えた時、スパイクやシューズが踵に合っていない時、ふくらはぎの硬さが強い時にも痛みが出やすくなることがあります。
シーバー病のよくある症状
- 踵を押すと痛い
- 片脚でつま先立ちをすると踵が痛い
- アキレス腱のストレッチで踵が痛い
- ジャンプや着地で痛い
- 走ると痛い
- 運動後や翌日に踵の痛みが強くなる
- 痛みが強いと歩く時に足を引きずる
シーバー病では、片脚つま先立ちや踵を横から挟むスクイーズテストで痛みが出ることがあります。Perhamreらは、シーバー病の診断ではX線所見だけでなく、臨床所見を重視する必要があると報告しています[3]。
ただし、踵の痛みはシーバー病だけで起こるわけではありません。アキレス腱障害、踵骨疲労骨折、足底腱膜炎、踵部脂肪体炎、足関節捻挫後の痛みなどが関係している場合もあります。

病院を受診した方がよいサイン
シーバー病は、運動量の調整や保存療法で改善を目指せることが多い障害です。一方で、痛みが強い場合や長引く場合は、他の原因も含めて確認することが大切です。
- 歩くと強く痛い
- 足を引きずっている
- 片脚つま先立ちができない
- 踵の腫れや熱感が強い
- 安静にしていても痛い
- 夜間痛がある
- 数週間痛みが続いている
- 外傷後から踵が痛い
- しびれがある
特に、歩行時の痛みが強い場合、夜間痛がある場合、外傷後から痛みが続く場合は、シーバー病以外の原因も考える必要があります。自己判断せず医療機関で確認しましょう。
病院で行う検査
病院では、問診で痛みが出る場面、スポーツ種目、練習量、成長期の状況、シューズ、痛みの経過などを確認します。
診察では、踵の圧痛、片脚つま先立ち、歩行、ジャンプ、ふくらはぎやアキレス腱の柔軟性、スクイーズテストなどを確認します。
画像検査では、必要に応じてX線検査を行い、骨端線の状態や他の骨の異常がないかを確認します。ただし、シーバー病はX線だけで診断するものではなく、臨床症状と診察所見をあわせて判断することが大切です[3]。
エコー検査では、痛みのある部位や周囲組織の状態を確認することがあります。症状が強い場合や、疲労骨折など他の疾患が疑われる場合には、MRI検査が検討されることもあります。

シーバー病と診断されたら
シーバー病と診断された場合、基本的には保存療法で改善を目指します。
痛みが強い時期は、走る、ジャンプする、ダッシュするなど、踵に痛みが出る動作を一時的に調整します。完全に運動を中止するかどうかは、痛みの程度、歩行痛、スポーツ種目、翌日の反応などを見ながら判断します。
保存療法では、運動量の調整、ふくらはぎ・アキレス腱周囲の柔軟性改善、足部・足首の安定性改善、シューズや踵パッド・インソールの工夫などが行われます[2]。
大切なのは、痛みを我慢して続けるのではなく、痛みが悪化しない範囲で負荷を調整しながら、段階的に復帰していくことです。
シーバー病のリハビリテーション
リハビリのポイントは、「痛みのコントロール」「足首・ふくらはぎの柔軟性改善」「足首・足部の安定性改善」「運動量の段階的な調整」です。
シーバー病の主な問題は、踵の痛みと運動負荷のバランスです。痛みが強い場合は、運動量を調整し、必要に応じてアイシングなどで痛みを落ち着かせます。
痛みが落ち着いてきたら、足首周囲の筋力、着地の安定性、体幹・股関節の安定性を整えながら、走る・ジャンプする動作へ段階的に進めていきます。
- 歩行痛が悪化していない
- 踵を押した痛みが強くなっていない
- リハビリ中、リハビリ後、翌日朝に痛みが強くならない
- 片脚つま先立ちで痛みが強くならない
- ケンケンやジャンプ後に痛みが増えない
- 運動後の踵の痛みが翌日まで強く残らない
具体的なリハビリメニューは、以下の記事も参考にしてください。
リハビリの期間はあくまで目安です。痛み、歩行、圧痛、運動後・翌日の反応を確認しながら、自分に合った進め方をしましょう。
炎症期:歩行やつま先立ちで痛みがある時期
- 痛みが強くなる走行、ジャンプ、ダッシュを一時的に調整する
- 歩行痛や踵の圧痛を確認する
- 必要に応じてアイシングを行い、痛みを落ち着かせる
- ふくらはぎや足裏の過度な緊張を整える
- 荷重をかけない範囲で足首周囲の筋肉を使う
- 体幹とお尻の筋肉を鍛える
リハビリ前期:つま先立ちの痛みが落ち着いてきた時期
- ふくらはぎ・足裏の過度な緊張を整える
- 立位でカーフレイズなどのトレーニングを始める
- タオルギャザーやショートフットエクササイズを行う
- スクワット、片脚スクワット、ランジなどで下肢全体を使う
- 体幹とお尻の筋肉を鍛える
リハビリ中期:ジャンプやケンケンの準備をする時期
- ホップなどのジャンプエクササイズを段階的に開始する
- ジャンプ着地で足首・踵が安定しているか確認する
- ジョギング開始に向けた準備を行う
- 直線のランニングを軽い強度から開始する
- 痛みや翌日の反応を確認する
ジョギングを開始する前に、以下の項目を目安として確認しましょう。
- 歩行痛がない
- 踵を押した痛みが強くない
- 片脚つま先立ちで痛みが出ない
- 下腿前傾角度の左右差が少ない
- 片脚カーフレイズで痛みが悪化しない
- ケンケンで痛みが出ない
- ケンケン後や翌日に痛みが増えない
- ふくらはぎの柔軟性が大きく低下していない
リハビリ後期:ランニングしても痛みが出にくい時期
- ランニングスピードを段階的に上げる
- スプリント、ステップワーク、ジャンプを段階的に行う
- アジリティトレーニングを開始する
- リアクションドリルや競技特性に応じた動作を行う
- 運動後の踵の圧痛や翌日の痛みを確認する
復帰期:強度を上げても痛みが出にくい時期
- 練習への部分参加から開始する
- ランニング量、スピード、ジャンプ量を段階的に増やす
- 競技特有の切り返し、ダッシュ、ジャンプを段階的に戻す
- 練習後・翌日の痛みを確認する
- 復帰後も足首・足部・体幹トレーニングを継続する
シーバー病とシューズ・踵パッド
スポーツ復帰で注意したいこと
シーバー病では、痛みが落ち着いた直後に急に練習量を戻すと、踵の痛みが再発することがあります。
復帰時は、歩行、片脚つま先立ち、ケンケン、ジョギング、ランニング、ジャンプ、競技動作の順に、段階的に負荷を上げていくことが大切です。
- 歩行痛がない
- 踵を押した痛みが強くない
- 片脚つま先立ちで痛みが出ない
- ケンケンやジャンプで痛みが出ない
- 運動後・翌日に痛みが増えない
- ふくらはぎの柔軟性が大きく低下していない
- 競技用シューズで痛みが出ない
よくある質問
シーバー病は自然に治りますか?
成長とともに骨端線が閉じていくため、一般的には大きな後遺症が残りにくいとされています。ただし、痛みがある時期に無理をすると長引くことがあるため、運動量の調整と段階的な復帰が大切です。
運動は休むべきですか?
痛みが強い動作は一時的に控える必要があります。完全に休むかどうかは、歩行痛、つま先立ちの痛み、運動後や翌日の痛みの変化を見ながら判断します。痛みが悪化しない範囲で負荷を調整することが大切です。
どのくらいでスポーツ復帰できますか?
復帰までの期間は、痛みの強さ、競技種目、練習量、成長段階によって異なります。歩行、片脚つま先立ち、ケンケン、ジョギング、ジャンプを段階的に確認しながら進めます。
インソールや踵パッドは有効ですか?
症状によっては、踵への衝撃やシューズとの当たりを減らす目的で、踵パッドやヒールカップ、インソールが役立つことがあります。ただし、全員に必要なわけではないため、痛みの出方やシューズとの相性を見て検討しましょう。
レントゲンでシーバー病はわかりますか?
X線検査は他の骨の異常を確認する目的で行われることがあります。ただし、骨硬化や断片化のような所見は痛みがない子どもにもみられることがあるため、シーバー病はレントゲンだけで判断するものではありません[3]。
成長が終われば治りますか?
骨端線が閉じるにつれて症状が落ち着くことが多いとされています。ただし、痛みがある時期の運動量や柔軟性、シューズ環境によって症状が長引くこともあるため、痛みを我慢しすぎないことが大切です。
まとめ
ここまで、シーバー病の症状、検査、治療方針、リハビリテーションについて解説しました。
シーバー病は、成長期の子どもに多い踵の痛みで、走る・ジャンプする・つま先立ちをする動作で痛みが出やすい障害です。
一般的には大きな後遺症が残りにくいとされていますが、痛みが強いまま運動を続けると長引くことがあります。
大切なのは、痛みを我慢して続けるのではなく、歩行痛、踵の圧痛、片脚つま先立ち、ケンケン、翌日の反応を確認しながら、段階的に復帰していくことです。
痛みが続く場合や、歩く時に足を引きずる場合は、自己判断せず医療機関や専門家に相談しましょう。
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参考文献
[1]Hendrix CL. Calcaneal apophysitis (Sever disease). Clin Podiatr Med Surg. 2005;22(1):55-62. PubMed ID: 15555843
[2]James AM et al. Effectiveness of interventions in reducing pain and maintaining physical activity in children and adolescents with calcaneal apophysitis (Sever's disease): a systematic review. J Foot Ankle Res. 2013;6:16. PubMed ID: 23641779
[3]Perhamre S et al. Sever's injury: a clinical diagnosis. J Am Podiatr Med Assoc. 2013;103(5):361-368. PubMed ID: 24072363


