
この記事では、シーバー病と診断された、またはシーバー病が疑われる選手・保護者・指導者の方向けに、具体的なリハビリ方法とスポーツ復帰の目安を解説します。
シーバー病の症状・原因・検査・治療方針など、疾患の概要を知りたい方は、まず以下の記事をご確認ください。
また、「足首・足の痛み全体」について知りたい方は、以下の記事も参考になります。
シーバー病では、まず運動量のコントロールがとても重要です。痛みを我慢して練習を続けるより、痛みの状態に合わせて負荷を調整した方が、結果的に復帰がスムーズになることがあります。
シーバー病は、成長期の子どもに多い踵の痛みです。
踵の骨の成長軟骨部分に、アキレス腱を介した引っ張りストレスや、走る・跳ぶ動作の衝撃が繰り返しかかることで痛みが出やすくなります。
8〜15歳前後のスポーツを行う子どもに多く、サッカー、陸上、体操、テニス、バレエなど、走る・跳ぶ動作が多い競技で起こりやすいとされています[1][2]。
そのため、シーバー病のリハビリでは、痛みを悪化させない運動量調整、足底〜ふくらはぎ〜もも裏の柔軟性改善、踵への負担を減らす身体づくりを組み合わせて進めることが大切です。
目次
シーバー病リハビリの基本方針
シーバー病のリハビリで大切なポイントは、以下の4つです。
- 踵の痛みが強くなる運動量を一時的に調整する
- 足底、ふくらはぎ、ハムストリングスの柔軟性を整える
- 痛みの状態を見ながら、ふくらはぎ・足部の筋力を段階的に戻す
- 体幹・股関節を含めて、走る・跳ぶ時に踵へ負担が集中しにくい身体を作る
シーバー病は、成長とともに落ち着いていくことが多い障害ですが、「後遺症が残りにくいから大丈夫」と考えて痛みを我慢し続けると、運動休止期間が長くなることがあります。
復帰を急ぐほど、まずは痛みの出る動きを減らし、痛みが落ち着く範囲でリハビリを継続することが重要です。
痛み・腫れ・炎症がある時の対処法
踵に「押すと痛い」「走ると痛い」「ジャンプで痛い」「歩くと痛い」といった症状がある場合は、まず踵への負担を調整します。
特に、練習中は我慢できても、練習後や翌日に痛みが強くなる場合は、現在の運動量が高すぎる可能性があります。
運動量のコントロール
目的:踵の成長軟骨への刺激を減らし、痛みが悪化しにくい状態を作ることです。
- 歩くだけで痛い場合:ランニング、ジャンプ、ダッシュは控える
- 歩行は可能だが練習後に痛む場合:練習量を減らし、リハビリ中心にする
- 翌朝に痛みが増える場合:前日の負荷が高すぎる可能性がある
- 痛みが落ち着いてきた場合:ジョギング、ダッシュ、ジャンプの順に少しずつ戻す
「休みたくないから痛くても頑張る」と言って無理をする選手ほど、結果的に運動休止期間が長くなってしまうことがあります。痛みが強い時期は、勇気をもって負荷を下げることもリハビリの一部です。
アイシング
目的:踵周囲の痛み・熱感・運動後の炎症感を落ち着かせることです。
- 氷のう、または氷パックを作ります。
- 踵の後方〜足底側の痛みがある部分にアイスパックを当てます。
- 10〜20分程度アイシングを行います。
- 皮膚の感覚が戻り、患部が常温に戻ってから、必要に応じて再度行います。

- 30分以上のアイシングは凍傷のリスクがあるため避けましょう。
- 感覚が鈍い方、皮膚トラブルがある方、寒冷刺激で赤みやかゆみが出る方は注意が必要です。
- アイシングだけで治すのではなく、運動量の調整とリハビリを合わせて行いましょう。
足底〜ふくらはぎ〜もも裏の柔軟性改善
シーバー病では、アキレス腱を介した踵への引っ張りストレスが関係しやすいため、足底、ふくらはぎ、もも裏の柔軟性を整えることが大切です。
足底腱膜は、アキレス腱やその周囲組織と機能的に関連する可能性が報告されています[4]。そのため、踵だけでなく、足底〜ふくらはぎ〜もも裏までを広く整えていきます。
足底腱膜のほぐし
目的:足底の柔軟性を改善し、踵周囲にかかる負担を減らしやすくすることです。
- 足の裏をボールやツボ押し棒などで軽く圧迫します。
- 足底を圧迫した状態で、足の指を10回ほどゆっくり動かします。
- 足裏全体を少しずつ場所を変えながらほぐします。
- 5〜10分程度、つっぱる場所を中心に行います。
※痛みが出る場所を強く押さないようにしましょう。


ふくらはぎのほぐし
目的:ふくらはぎの硬さを整え、アキレス腱を介した踵への牽引ストレスを減らすことです。
- 長座の姿勢になり、ふくらはぎの下にボールを入れます。
- 力を抜いて、ボールに足を乗せます。
- 10秒間ボールに乗せる、足首を上下に10回動かす、足全体を軽く左右に10回揺らす、のいずれかを行います。
- 場所を少しずつ変えながら、5〜10分程度行います。

- 強く押しすぎず、気持ちよい範囲で行いましょう。
- 踵の痛みが強くなる場合は中止してください。
- 翌日に痛みが増える場合は、時間や圧の強さを減らしましょう。
もも裏のほぐし
目的:下肢後面全体の硬さを整え、走る・跳ぶ動作で踵に負担が集中しにくい状態を作ることです。
- イスに座り、太ももの裏側の下にボールを入れます。
- 骨盤を軽く前に倒し、太ももの裏側にストレッチ感が出る位置を探します。
- 10秒程度キープします。
- 場所を少しずつ変えながら、5〜10分程度行います。

踵への負担を減らす筋トレ
踵への負担は、ふくらはぎの筋力低下、足首・足部のぐらつき、体幹・股関節の不安定性によって増えやすくなります。
ただし、シーバー病ではカーフレイズなどのふくらはぎの筋トレで踵の痛みが増えることがあります。痛みがある場合は無理に行わず、座位から始める、回数を減らす、体幹・股関節のトレーニングを優先するなど、負荷を調整しましょう。
座位カーフレイズ
目的:踵への負担を抑えながら、ふくらはぎと足部の使い方を確認することです。
- 椅子にまっすぐ座ります。
- 足の指はリラックスさせ、母趾球に軽く体重を乗せます。
- 踵をゆっくり持ち上げます。
- 上げた位置で3秒キープし、ゆっくり下ろします。
- 10回 × 2〜3セット行います。

※踵の痛みが出る場合は中止しましょう。
立位カーフレイズ
目的:体重をかけた状態で、踵を安定させるふくらはぎの筋力を高めることです。
- 足を肩幅に開き、つま先をまっすぐ前に向けて立ちます。
- 足の指はリラックスさせ、母趾球に体重を乗せます。
- 踵が内側や外側に大きく倒れないように、ゆっくり持ち上げます。
- 上げた位置で3秒キープし、ゆっくり下ろします。
- 10回 × 2〜3セット行います。

※立位で痛みが出る場合は、座位カーフレイズに戻しましょう。
- 踵の痛みを我慢して行わないようにしましょう。
- 翌日に痛みが増える場合は、回数やセット数を減らしてください。
- 片脚カーフレイズは負荷が高いため、両脚で痛みなくできるようになってから行いましょう。
体幹・股関節を使うリハビリ
シーバー病では、足や踵だけでなく、体幹・股関節の安定性も重要です。走る・跳ぶ時に体幹や股関節が不安定だと、接地時に踵へ負担が集中しやすくなります。
ドローイン
目的:体幹を安定させ、走行やジャンプ時の下肢の動きをコントロールしやすくすることです。
- 仰向けで寝て、膝を90°程度曲げます。
- ゆっくり息を吐きます。
- 息を吐くのと同時に、お腹を軽くへこませます。
- お尻の穴を軽く締めるように意識します。
- リラックスして息を吸い、同じ動きを繰り返します。
- 20回程度行います。

バードドッグ
目的:体幹を安定させたまま、股関節と肩まわりを連動して使う練習です。
- 四つばいの姿勢から始めます。
- 肩の真下に手、股関節の真下に膝がくるようにします。
- お腹を軽くへこませ、体幹を安定させます。
- 対角線上の手と足をゆっくり持ち上げます。
- 上げた手と足を前後に引っ張られるように伸ばします。
- 3秒キープ × 10回 × 2〜3セット行います。

クラムシェル
目的:股関節外側の筋肉を使いやすくし、走る・跳ぶ時に下肢がぐらつきにくい状態を作ることです。
- 横向きで寝て、膝を90°程度曲げます。
- 背骨をまっすぐにし、踵が背骨のライン上にくるようにします。
- 骨盤と背骨を動かさないようにします。
- 膝をゆっくり開きます。
- 3秒キープ × 10回 × 2〜3セット行います。
可能であれば、膝にチューブを巻いて行います。

※膝を開く時に、骨盤ごと後ろへ倒れないように注意しましょう。
ヒップリフト
目的:お尻の筋肉を使いやすくし、走行やジャンプ時に踵へ負担が集中しにくい身体を作ることです。
- 仰向けで寝て、膝を90°程度曲げます。
- 足の裏全体で地面を真下方向に軽く押します。
- お腹を軽くへこませます。
- お尻を締めるように意識します。
- お尻をゆっくり持ち上げます。
- 肩から膝まで一直線になる高さを目安にします。
- 3秒キープ × 10回 × 2〜3セット行います。

患部外トレーニングの考え方
踵に痛みがある時期でも、痛みを悪化させない範囲で、患部外のトレーニングを行うことは大切です。
- 上半身の筋力トレーニング
- 体幹トレーニング
- 股関節まわりの筋力トレーニング
- 痛みが出ない範囲での自転車エルゴメーター
- 水中歩行など、踵への衝撃が少ない運動
ただし、足で強く踏ん張る種目やジャンプを含む種目では踵の痛みが出ることがあります。患部外トレーニングであっても、踵の痛みが出る場合は方法を調整しましょう。
痛みがある時に避けたい動き
シーバー病では、痛みを我慢して運動を続けると、症状が長引くことがあります。特に以下の動きは、痛みがある時期には注意が必要です。
- 痛みを我慢したランニング
- ダッシュの反復
- ジャンプや着地の反復
- 坂道走
- 硬い地面での長時間練習
- 痛みがある状態でのカーフレイズ
- 踵を強く押すマッサージ
- サイズの合わないスパイクや硬い靴での練習
特に、練習中は我慢できても、翌日に痛みが強くなる場合は負荷が高すぎる可能性があります。
運動中の痛みだけでなく、翌日の反応も確認しましょう。
日常生活復帰・スポーツ復帰の目安
復帰時期は、痛みの強さ、競技種目、練習量、成長の状態、靴やグラウンド環境によって異なります。ここでは、一般的な目安を紹介します。
日常生活復帰の目安
- 歩行時の踵の痛みがない、または軽い
- 階段昇降で痛みが強くならない
- 踵を軽く押しても強い痛みがない
- 片脚立位で踵の痛みが出ない
- 日常生活後に翌日の痛みが増えない
ランニング再開の目安
- 歩行で踵の痛みがない
- 座位カーフレイズが痛みなくできる
- 両脚カーフレイズが痛みなくできる
- 軽いジョギング後、翌日に痛みが増えない
- ランニング中にフォームが崩れるほど痛みが出ない
スポーツ復帰の目安
- ジャンプ・着地で踵の痛みが出ない
- ダッシュや切り返し動作で痛みが出ない
- 競技練習後、翌日に踵の痛みが増えない
- スパイクや競技用シューズで踵に強い痛みが出ない
- 練習量を増やしても痛みが戻らない
シーバー病の復帰では、「その場で痛くない」だけでなく、「翌日に悪化しない」ことが大切です。走る距離、ジャンプ回数、練習時間を少しずつ増やしましょう。
再発予防のポイント
シーバー病は、痛みが落ち着いても、急に練習量が増えたり、硬いグラウンドでの練習が続いたりすると再び痛みが出ることがあります。
- 急に走行距離や練習量を増やさない
- ダッシュ・ジャンプ・切り返し練習を急に増やさない
- ふくらはぎと足底の柔軟性を保つ
- 踵に痛みが出た時は早めに練習量を調整する
- 靴やスパイクのサイズ・踵の当たりを確認する
- 必要に応じてヒールカップやインソールを検討する
- 体幹・股関節トレーニングを継続する
シーバー病は、活動量やスポーツ参加、体格、足部の状態など複数の要因が関連すると報告されています[3]。痛みが繰り返される場合は、練習量だけでなく、靴、グラウンド環境、身体の柔軟性、走り方も含めて見直すことが大切です。
医療機関に相談した方がよい症状
以下のような症状がある場合は、シーバー病以外の障害や、より慎重な対応が必要な状態が隠れている可能性があります。
- 外傷後から強い踵の痛みが続いている
- 歩くのが難しいほど痛い
- 踵に強い腫れや熱感がある
- 足のしびれや感覚の異常がある
- 片脚でつま先立ちができない
- 数週間たっても痛みが改善しない
- 運動を再開するとすぐに痛みが戻る
- 夜間痛や安静時痛が強い
このような場合は、自己判断でリハビリを続けず、整形外科やスポーツ医療に詳しい専門家へ相談してください。
似た症状を起こす関連疾患
成長期の踵の痛みは、シーバー病以外でも起こることがあります。痛みの場所、年齢、発症の仕方によって考えられる疾患が異なります。
- アキレス腱炎:アキレス腱そのものや踵に近い部分に痛みがある場合に注意
- 足底腱膜炎:足裏や踵の底側に痛みがある場合に注意
- 有痛性外脛骨:足の内側の骨の出っ張りに痛みがある場合に注意
- 踵骨疲労骨折:踵全体の痛みが強く、歩行やジャンプで悪化する場合に注意
FAQ
シーバー病は完全に休んだ方がよいですか?
痛みが強い時期は、ランニングやジャンプなどの負荷を減らす必要があります。ただし、完全に何もしないというより、痛みを悪化させない範囲で体幹・股関節・柔軟性のリハビリを進めることが大切です。
シーバー病でストレッチやほぐしはしてもよいですか?
足底、ふくらはぎ、もも裏の軽いほぐしは有効な場合があります。ただし、踵の痛い部分を直接強く押すことは避けましょう。翌日に痛みが増える場合は、強さや時間を減らしてください。
カーフレイズはいつから始めてもよいですか?
痛みが強い場合は無理に行わず、まずは柔軟性改善や体幹・股関節トレーニングを優先します。踵の痛みが落ち着いてきたら、座位カーフレイズから始め、痛みがなければ立位カーフレイズへ進めます。
サッカーや陸上はいつ再開できますか?
歩行、階段、座位カーフレイズ、両脚カーフレイズで痛みがなく、軽いジョギング後に翌日の痛みが増えない状態が目安です。復帰後は短時間・低強度から始め、ダッシュやジャンプは段階的に戻しましょう。
インソールやヒールカップは必要ですか?
踵への衝撃が強い場合や、靴の中で踵が痛い場合は、ヒールカップやインソールが役立つことがあります。ただし、合わないものは痛みを強めることもあるため、可能であれば専門家に相談しましょう。
成長が終われば自然に治りますか?
シーバー病は成長とともに落ち着くことが多い障害です。ただし、痛みを我慢して運動を続けると、スポーツ活動に支障が出る期間が長くなることがあります。痛みの状態に合わせて運動量を調整し、リハビリを進めましょう。
まとめ
シーバー病のリハビリでは、踵の痛みを落ち着かせるだけでなく、運動量のコントロール、足底〜ふくらはぎ〜もも裏の柔軟性、ふくらはぎ・体幹・股関節の筋力を整えながら、段階的にスポーツ動作へ戻していくことが大切です。
特に重要なのは、痛みを我慢しすぎず、翌日の反応を見ながら運動量を調整することです。走る距離、ジャンプ回数、練習時間を少しずつ増やし、踵の痛みが戻らない範囲で復帰を進めましょう。
痛みが長引く場合、強い腫れや熱感がある場合、歩行やスポーツ動作に支障がある場合は、自己判断で進めずに医療機関へ相談してください。
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参考文献
- Ramponi DR, Baker C. Sever's Disease (Calcaneal Apophysitis). Adv Emerg Nurs J. 2019;41(1):10-14. PubMed ID: 30702528. PubMed
- Hendrix CL. Calcaneal apophysitis (Sever disease). Clin Podiatr Med Surg. 2005;22(1):55-62. PubMed ID: 15555843. PubMed
- Nieto-Gil P, et al. Risk factors and associated factors for calcaneal apophysitis (Sever's disease): a systematic review. BMJ Open. 2023;13(6):e064903. PubMed ID: 37280033. PubMed
- Stecco C, et al. Plantar fascia anatomy and its relationship with Achilles tendon and paratenon. J Anat. 2013;223(6):665-676. PubMed ID: 24028383. PubMed







