【実践編】下前腸骨棘剥離骨折のリハビリ|ストレッチ・筋トレ・復帰まで解説

この記事では、下前腸骨棘剥離骨折と診断された、または下前腸骨棘剥離骨折が疑われる選手・保護者・指導者の方向けに、具体的なリハビリ方法とスポーツ復帰の目安を解説します。

股関節の前が痛い、キックで股関節前方に強い痛みが出た、ダッシュでももを上げた瞬間に痛めた場合、成長期では下前腸骨棘剥離骨折が関係していることがあります。

今回は、下前腸骨棘剥離骨折の具体的なリハビリ方法について、痛み・炎症への対応、ストレッチ、筋トレ、走っていい目安、スポーツ復帰基準まで実践的に整理していきます。

下前腸骨棘剥離骨折の症状、原因、検査、治療方針など、疾患の概要を知りたい方は、まず以下の記事をご確認ください。

 

股関節の痛み全体について知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

 

股関節の前の痛みでは、腸腰筋肉ばなれ股関節唇損傷FAIグロインペイン症候群内転筋肉ばなれなども関連します。似た症状がある場合は、関連記事もあわせて確認してみてください。

 

この記事でわかること
  • 下前腸骨棘剥離骨折のリハビリで大切な考え方
  • 骨癒合を守るために避けたい動き
  • ストレッチ・筋トレを始める目安
  • ジョギング、ダッシュ、キックの再開基準
  • スポーツ復帰と再発予防のポイント

あきと
下前腸骨棘剥離骨折では、リハビリを頑張る前に骨癒合を守ることが大切です。痛みが軽くなっても、すぐに全力キックやダッシュへ戻らないようにしましょう。

目次

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下前腸骨棘剥離骨折リハビリの基本方針

下前腸骨棘剥離骨折は、骨盤の下前腸骨棘という部分に付着する大腿直筋が強く引っ張られることで起こるケガです。

大腿直筋は、股関節を曲げる働きと膝を伸ばす働きがあるため、サッカーのキック、ダッシュ、ジャンプ、もも上げ動作などで強く使われます。

骨盤裂離骨折は成長期アスリートに多く、特に骨端線や骨端核がまだ成熟していない時期に起こりやすいとされています[1]。

そのため、下前腸骨棘剥離骨折のリハビリでは、筋肉の肉ばなれと同じように考えるのではなく、骨癒合を守りながら、大腿直筋への負荷を段階的に戻すことが重要です。

リハビリの全体像
  1. 痛み・炎症を落ち着かせる
  2. 骨癒合を妨げないように荷重や運動量を調整する
  3. 股関節・骨盤・体幹の動きを整える
  4. 大腿直筋に少しずつ負荷をかける
  5. ジョギング、ダッシュ、キック、競技動作へ段階的に戻す

骨盤裂離骨折では、多くの場合に保存療法が選択されますが、骨片の転位が大きい場合や、痛みが長引く場合、競技復帰に支障が大きい場合などでは手術療法が検討されることもあります[2][3]。

この記事では、保存療法でリハビリを進める場合の一般的な考え方を中心に整理します。実際には、骨片の位置、骨癒合の状態、痛み、競技レベルによって進め方が変わるため、医師やリハビリ担当者の指示を優先してください。

下前腸骨棘剥離骨折で痛みがある時に避けたい動き

下前腸骨棘剥離骨折では、大腿直筋が骨片を引っ張るような動きに注意が必要です。

特に、受傷直後や歩行時痛がある時期に強い股関節屈曲や膝伸展を繰り返すと、痛みが長引いたり、骨癒合の妨げになる可能性があります。

  • 痛みを我慢した歩行
  • ダッシュ、スプリント、ジャンプ、切り返し動作
  • サッカーの強いキック動作
  • 高くももを上げる動き
  • 深いランジや股関節前方を強く伸ばす姿勢
  • 翌日に股関節前方の痛みが増える量の練習

あきと

成長期の股関節前方痛では、「肉ばなれだと思ってストレッチしていたら剥離骨折だった」ということもあります。外傷後の強い痛みや歩行困難がある場合は、まず画像検査で確認しましょう。

下前腸骨棘剥離骨折の痛み・腫れ・炎症への対応

初期は、痛みを落ち着かせることと、骨癒合を妨げないことが最優先です。

痛みが強い場合は、無理にストレッチや筋トレを行うのではなく、練習量や歩行量を調整しながら、患部外トレーニングで体力低下を防いでいきます。

アイシング

目的:股関節前方の痛みや熱感を落ち着かせ、運動後の炎症反応を抑えることです。

股関節前方に熱感がある、歩行後に痛みが増える、受傷直後でズキズキする痛みがある場合は、状態に応じてアイシングを行います。

  1. 氷と少量の水を入れてアイスパックを作ります。
  2. 股関節の前方、骨盤の前側の痛みがある周囲にタオル越しで当てます。
  3. 10〜20分を目安に冷やします。
  4. 皮膚の感覚が戻ってから、必要に応じて再度行います。

下前腸骨棘剥離骨折の初期対応として股関節前方をアイシングしているイラスト

注意点
  • 30分以上のアイシングは凍傷のリスクがあります。
  • 皮膚の感覚が鈍い場合は冷やしすぎに注意しましょう。
  • 寒冷アレルギーがある方は中止してください。
  • アイシングで痛みをごまかして運動を続けるのは避けましょう。

歩行量・荷重量の調整

目的:痛みを悪化させず、骨片部への過剰な牽引ストレスを減らすことです。

下前腸骨棘剥離骨折では、痛みが強い時期に無理に歩く必要はありません。歩行で股関節前方に痛みが強い場合は、松葉杖や荷重制限が必要になることがあります。

  • 歩くと痛い場合は歩行量を減らす、階段昇降で痛む場合は無理に繰り返さない
  • 医師の指示がある場合は松葉杖を使用する
  • 痛みが落ち着くまではダッシュやキックを避ける
  • 練習後や翌日に痛みが増える場合は負荷を下げる

あきと
下前腸骨棘剥離骨折では、痛みが軽くなっても骨が完全に安定していないことがあります。復帰は「痛み」だけでなく、画像所見や医師の許可も大切です。

日常生活での注意点

日常生活では、股関節を強く曲げる動きや、太もも前に力が入る動きで痛みが出ることがあります。痛みが出る動作はなるべく控えるようにしましょう。

    下前腸骨棘剥離骨折のストレッチ・柔軟性改善

    下前腸骨棘剥離骨折では、初期から大腿四頭筋や腸腰筋を強く伸ばすことはおすすめできません。

    大腿直筋は下前腸骨棘に付着しているため、強いストレッチで骨片部に牽引ストレスがかかる可能性があります。

    まずは患部を直接引っ張るのではなく、骨盤や股関節の動きを邪魔しやすい周囲の筋肉を整えていきます。

    ハムストリングスのほぐし

    目的:骨盤の動きを整え、股関節前方に余計な負担がかかりにくい状態を作ることです。

    太もも裏が硬いと骨盤の動きが制限され、走る・蹴る・ももを上げる動作で股関節前方に負担がかかりやすくなることがあります。

    1. イスに座り、太もも裏の下にボールを入れます。
    2. 骨盤を少し前に倒します。
    3. 太もも裏に軽いストレッチ感が出る位置で10秒キープします。
    4. 場所を変えながら5分を目安に行います。
    5. しびれが出る場合は中止してください。

    下前腸骨棘剥離骨折のリハビリで行うハムストリングスのほぐし

    注意点:股関節前方に痛みが出るほど股関節を曲げ込まないようにしましょう。しびれが出る場合は中止してください。

    大腿筋膜張筋・太もも外側のほぐし

    目的:股関節外側の緊張を落とし、骨盤と股関節の動きを整えやすくすることです。

    骨盤周囲の筋肉が硬くなると、股関節前方に負担が集まりやすくなることがあります。痛みのない範囲で周囲の柔軟性を整えていきましょう。

    1. 横向きに寝て、大腿筋膜張筋の下にボールを入れます。
    2. 力を抜いて、軽く体重を乗せます。
    3. 10秒ほど圧をかけたら少し場所を変えます。
    4. 合計5分を目安に行います。
    5. 痛みが強い場合はタオルを敷いて圧を弱めます。

    下前腸骨棘剥離骨折のリハビリで行う大腿筋膜張筋のほぐし

    大腿筋膜張筋の位置を確認する説明図

    注意点:股関節前方に響く痛みが出る場合は中止しましょう。強く押せばよいわけではありません。

    大腿四頭筋ストレッチはいつから?

    目的:骨癒合が進んだ後に、太もも前の柔軟性を少しずつ戻すことです。

    下前腸骨棘剥離骨折では、大腿直筋が患部に付着しています。そのため、初期から太もも前を強く伸ばすことは避けましょう。

    大腿四頭筋ストレッチは、医師から運動負荷を上げる許可があり、歩行・軽いもも上げ・股関節の曲げ伸ばしで痛みが少なくなってから、軽い伸び感の範囲で始めるのが安全です。

    大腿四頭筋ストレッチの注意点
    • 骨癒合前に強く伸ばさない、反動をつけない
    • 股関節前方に鋭い痛みが出る場合、翌日に痛みが増える場合は中止する
    • 必ず医師やリハビリ担当者の許可に合わせて進める

    あきと

    下前腸骨棘剥離骨折では、「硬いから伸ばす」ではなく、骨が治る時期に合わせて伸ばすことが大切です。特に太もも前の強いストレッチは焦らないようにしましょう。

    下前腸骨棘剥離骨折の可動域改善

    可動域改善では、痛みを我慢して大きく動かすのではなく、痛みなく動かせる範囲を少しずつ広げていきます。

    特に初期は、股関節前方に痛みが出るほど大きく動かす必要はありません。

    股関節の軽い曲げ伸ばし

    目的:股関節前方の痛みを悪化させずに、股関節を動かす感覚を戻すことです。

    1. 仰向けで寝て、両膝を軽く曲げます。
    2. 片膝を胸の方向へ軽く近づけます。
    3. 股関節前方に痛みが出る手前で止めます。
    4. ゆっくり戻します。
    5. 10〜20回を目安に行います。

    下前腸骨棘剥離骨折の可動域改善として行う股関節の軽い曲げ伸ばし

    注意点:股関節前方に鋭い痛みが出る場合は中止してください。強く引き寄せる必要はありません。

    キャット&ドッグ

    目的:股関節だけでなく、骨盤と腰椎の動きを整え、下前腸骨棘周囲に余計な負担がかかりにくい状態を作ることです。

    1. 四つんばいになり、肩の真下に手、股関節の真下に膝がくるようにつきます。
    2. 少し腰を反るイメージで骨盤を前傾させます。
    3. 背中を丸めるイメージで骨盤を後傾させます。
    4. 痛みのない範囲でゆっくり繰り返します。
    5. 10〜20回を目安に行います。

    下前腸骨棘剥離骨折の可動域改善で行うキャットアンドドッグ

    注意点:腰を反らせすぎないようにしましょう。股関節前方の痛みが増える場合は中止してください。

    下前腸骨棘剥離骨折の筋トレ

    下前腸骨棘剥離骨折の筋トレは、いきなり強いもも上げやレッグレイズから始めるのではなく、骨癒合と痛みの反応を確認しながら段階的に進めます。

    初期は大腿直筋へ直接強い負荷をかけず、体幹や殿筋などの患部外トレーニングから始めることが多いです。

    初期:大腿直筋に負荷をかけにくい体幹・殿筋トレーニング

    目的:患部への牽引ストレスを抑えながら、復帰に必要な体幹・骨盤・股関節の安定性を保つことです。

    歩行時痛がある時期や、医師から強い股関節運動を制限されている時期は、無理に患部を鍛えず、痛みのない範囲で体幹や殿筋を使います。

    中期:股関節屈曲の等尺性トレーニング

    目的:大腿直筋や股関節屈筋に軽く力を入れる感覚を戻し、痛みを悪化させずに筋活動を再開することです。

    このメニューは、歩行や軽い股関節の曲げ伸ばしで痛みが少なくなり、医師やリハビリ担当者から許可が出てから行いましょう。

    1. 仰向けで寝て、お腹をへこませます。
    2. 片足を痛みのない範囲で持ち上げます。
    3. 手で膝を軽く押さえ、手と脚で押し合います。
    4. 5秒キープして力を抜きます。
    5. 10回✕2〜3セットを目安に行います。

    下前腸骨棘剥離骨折の中期リハビリで行う股関節屈曲の等尺性トレーニング

    注意点:最初は30%程度の力で十分です。股関節前方に痛みが出る場合は力を弱めるか中止しましょう。

    後期:立位もも上げコントロール

    目的:ランニングやキック動作に必要な股関節屈曲の力を、痛みなく使えるようにすることです。

    骨癒合が進み、ジョギングや基本的な筋トレで痛みが出にくくなってから行います。

    1. 姿勢をまっすぐにして立ちます。
    2. お腹を軽くへこませ、骨盤を安定させます。
    3. 片膝をゆっくり持ち上げます。
    4. 3秒止めて、ゆっくり下ろします。
    5. 10回×2〜3セットを目安に行います。

    下前腸骨棘剥離骨折の後期リハビリで行う立位股関節屈曲エクササイズ

    注意点:股関節前方に痛みが出る場合は、可動域や回数を減らしましょう。慣れてきて問題なければ、徐々にももを上げるスピードを上げていきます。

    あきと
    下前腸骨棘剥離骨折では、大腿直筋に負荷をかけるタイミングが大切です。痛みが引いた直後に全力もも上げやレッグレイズを行うのは避けましょう。

    下前腸骨棘剥離骨折の患部外トレーニング

    患部を休ませる時期でも、体幹や殿筋、股関節周囲の筋力低下をできるだけ防ぐことが大切です。

    骨盤裂離骨折では、骨癒合を守りながら全身の機能を保ち、段階的に競技動作へ戻すことが重要です[1][3]。

    ドローイン Level 1

    目的:腹圧を高める感覚をつかみ、骨盤と体幹を安定させます。

    1. 仰向けで寝て、膝を90°程度曲げます。
    2. ゆっくり息を吐きます。
    3. 息を吐くのと同時にお腹をへこませます。
    4. お尻の穴を軽くしめるイメージを加えます。
    5. 息を吐ききったら力を抜いて吸います。
    6. ゆっくり20回行います。

    下前腸骨棘剥離骨折の患部外トレーニングで行うドローイン

    注意点:お腹を強く固めすぎず、呼吸を止めないようにしましょう。

    デッドバグ

    目的:手足を動かしても体幹と骨盤を安定させる練習です。

    ランニングやキックでは、骨盤が安定した状態で股関節を動かすことが大切です。

    1. 仰向けで寝て、股関節と膝を90°に曲げます。
    2. 両手を天井方向に上げます。
    3. 呼吸を続けながらドローインを行います。
    4. 左手と右足をゆっくり伸ばします。
    5. 元に戻し、反対側も行います。
    6. 左右10回を目安に行います。

    下前腸骨棘剥離骨折の体幹リハビリで行うデッドバグ

    注意点:股関節前方に痛みが出る場合は、足を伸ばす範囲を小さくしてください。

    ヒップリフト

    目的:殿筋とハムストリングスを使い、骨盤と股関節の安定性を高めます。

    股関節前方に負担がかかりすぎる選手では、殿筋や体幹の働きが不足していることがあります。股関節を後ろに伸ばす力を戻すことも大切です。

    1. 仰向けで寝て、膝を90°程度曲げます。
    2. 足裏全体で床を真下に押します。
    3. お腹を軽くへこませ、骨盤を安定させます。
    4. お尻をゆっくり上げます。
    5. 肩から膝までが一直線になる高さを目安にします。
    6. 3秒キープして、ゆっくり下ろします。
    7. 10回×2〜3セットを目安に行います。

    下前腸骨棘剥離骨折のリハビリで行うヒップリフト

    注意点:股関節前方がつっぱる、痛む場合は高さを低くしてください。

    クラムシェル

    目的:股関節のインナーマッスルや殿筋を使い、骨盤と股関節の安定性を高めます。

    1. 横向きで寝て、膝を90°程度曲げます。
    2. 背骨をまっすぐにします。
    3. 骨盤が後ろに倒れないように固定します。
    4. 膝をゆっくり開きます。
    5. 3秒キープして戻します。
    6. 10回×2〜3セットを目安に行います。

    下前腸骨棘剥離骨折の患部外トレーニングで行うクラムシェル

    注意点:膝を開くことだけを意識すると骨盤ごと開いてしまいます。おへそが上を向かないようにしましょう。

    ヒップアブダクション

    目的:中殿筋を鍛え、片脚立ちや走行時の骨盤の安定性を高めます。

    1. 横向きでまっすぐ寝ます。
    2. ドローインを行います。
    3. 骨盤と背骨を固定します。
    4. 足を真横にゆっくり上げます。
    5. 3秒キープして戻します。
    6. 10回×2〜3セットを目安に行います。

    下前腸骨棘剥離骨折のリハビリで行うヒップアブダクション

    注意点:足が前から上がったり、身体が後ろに倒れたりしないようにしましょう。

    患部に負担をかけにくい有酸素運動

    痛みが落ち着いてきたら、体力低下を防ぐために有酸素運動を検討します。ただし、股関節前方に痛みが出ないことが前提です。

    • 上半身中心のエルゴメーター
    • 痛みがなければ低負荷の自転車
    • 水中ウォーキング
    • 痛みがない範囲でのウォーキング

    自転車でも股関節前方が痛む場合は、サドルを高めにする、負荷を下げる、時間を短くするなど調整しましょう。

    下前腸骨棘剥離骨折のジョギング・スポーツ復帰基準

    下前腸骨棘剥離骨折の復帰は、期間だけで判断しないことが大切です。

    痛み、画像所見、可動域、筋力、動作の質、競技動作、翌日の反応を確認しながら段階的に進めます。

    骨盤裂離骨折の復帰時期は損傷部位や治療方針によって異なりますが、保存療法・手術療法いずれでも段階的なリハビリと復帰判断が重要とされています[2][3]。

    日常生活復帰の目安

    • 歩行で股関節前方に痛みがない
    • 階段昇降で痛みが強くならない
    • 起き上がりや寝返りで股関節前方に強い痛みがない
    • 医師から荷重や歩行の許可が出ている

    ジョギング再開の目安

    • 歩行で痛みがない
    • もも上げで痛みがない
    • 股関節の曲げ伸ばしで左右差が少ない
    • 股関節屈曲の等尺性トレーニングで痛みが出ない
    • 画像所見や医師の評価で走行再開が許可されている
    • 軽いジョギング後、当日夜・翌日に痛みが増えない

    ダッシュ開始の目安

    • ジョギングで痛みが出ない
    • 流し走で痛みが出ない
    • もも上げをしても股関節前方に痛みが出ない
    • 加速・減速で痛みや不安感がない
    • 練習後や翌日に痛みが増えない

    キック再開の目安

    • もも上げで痛みがない
    • 立位股関節屈曲エクササイズで痛みがない
    • 軽いインサイドキックで痛みがない
    • 徐々にキック強度を上げても痛みが出ない
    • 全力キック後や翌日に股関節前方の痛みが戻らない

    スポーツ復帰の目安

    • 競技特異的な動作で痛みが出ない
    • ダッシュ、減速、方向転換が左右差少なくできる
    • キック動作で股関節前方に痛みが出ない
    • ジャンプや接触後に痛みが増えない
    • 練習後・翌日に痛みが戻らない
    • 再受傷への不安が強すぎない
    • 医師やリハビリ担当者から復帰許可が出ている

    あきと
    スポーツ復帰は「走れたからOK」ではありません。下前腸骨棘剥離骨折では、ダッシュ、キック、ジャンプ、翌日の反応まで確認してから復帰強度を上げましょう。

    下前腸骨棘剥離骨折の再発予防

    下前腸骨棘剥離骨折は、痛みが引いた後に急にダッシュやキックを増やすと再発することがあります。

    再発予防では、患部だけでなく、練習量、フォーム、体幹、股関節周囲の筋力を総合的に見直すことが大切です。

    • 急にダッシュ量やキック量を増やさない
    • 体幹・骨盤の安定性を継続して高める
    • 大腿四頭筋ストレッチは継続して行う
    • 練習後・翌日の股関節前方痛を記録する
    • 復帰後もキック量・スプリント量を段階的に増やす

    あきと

    下前腸骨棘剥離骨折の復帰では、キック量の管理がとても大切です。全体練習に戻った直後は、シュート練習やロングキックを急に増やしすぎないようにしましょう。

    医療機関に相談した方がよい症状

    以下のような症状がある場合は、自己判断でリハビリや運動を続けず、医療機関に相談してください。

    • 外傷後に股関節前方の痛みが強い
    • 歩くのが難しい
    • キックやダッシュ後にブチッと痛めた
    • 骨盤の前側を押すと強く痛い
    • 股関節前方の痛みが日に日に強くなる
    • しびれや筋力低下がある
    • 夜間痛や安静時痛がある
    • 発熱を伴う
    • 数週間たっても痛みが改善しない
    • 復帰するたびに同じ痛みを繰り返す

    あきと

    成長期では、股関節前方の痛みが筋肉の痛みではなく、裂離骨折のことがあります。外傷後の強い痛みや歩行困難がある場合は、早めに受診しましょう。

    FAQ

    下前腸骨棘剥離骨折で歩いてもいいですか?

    歩行で痛みが強い場合は、無理に歩かない方が安全です。痛みの程度や骨片の状態によっては、松葉杖や荷重制限が必要になることがあります。医師の指示に従い、痛みが増えない範囲で歩行量を調整しましょう。

    下前腸骨棘剥離骨折で走ってもいいですか?

    受傷直後や歩行時痛がある時期に走るのはおすすめできません。歩行、軽いもも上げ、股関節屈曲の軽い筋トレで痛みがないことを確認し、医師の許可が出てから短時間のジョギングから再開しましょう。

    ストレッチはいつからしていいですか?

    初期から大腿四頭筋や腸腰筋を強く伸ばすことは避けましょう。骨癒合が進み、歩行や軽い股関節運動で痛みが少なくなってから、軽い伸び感の範囲で始めるのが安全です。

    筋トレはいつから始めていいですか?

    痛みが強い時期は、体幹や殿筋など患部外トレーニングから始めます。大腿直筋への直接的な筋トレは、骨癒合や痛みの状態を確認しながら、軽い等尺性トレーニングから段階的に進めます。

    サッカーのキックはいつから再開できますか?

    キックは下前腸骨棘に付着する大腿直筋へ強い負荷がかかるため、復帰の後半で再開します。ジョギング、流し走、もも上げ、軽い股関節屈曲トレーニングで痛みがないことを確認し、軽いキックから徐々に強度を上げましょう。

    痛みが引いたらすぐにスポーツ復帰できますか?

    痛みが引いたことは大切な条件ですが、それだけで復帰を決めるのは安全ではありません。骨癒合の状態、股関節可動域、筋力、ダッシュ、キック、競技練習後の翌日反応を確認しながら、段階的に復帰しましょう。

    手術が必要になることはありますか?

    多くは保存療法で進められることがありますが、骨片の転位が大きい場合、痛みが長引く場合、偽関節やインピンジメント症状が問題になる場合などでは、手術療法が検討されることがあります[2][5]。実際の判断は画像所見や症状、競技レベルを踏まえて担当医と相談してください。

    まとめ

    今回は、下前腸骨棘剥離骨折の具体的なリハビリ方法について解説しました。

    下前腸骨棘剥離骨折では、初期から強いストレッチやもも上げを頑張るのではなく、まず骨癒合を守ること、次に股関節と骨盤の動きを整えること、そして大腿直筋へ段階的に負荷をかけることが大切です。

    復帰では、走れるかどうかだけでなく、ダッシュ、キック、ジャンプ、練習後・翌日の反応まで確認しましょう。

    痛みが長引く場合、歩行困難がある場合、しびれや夜間痛がある場合、復帰のたびに再発する場合は、自己判断で進めずに医療機関や専門家へ相談してください。

    あきと
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    参考文献

    [1]Yeager KC et al. Pelvic Avulsion Injuries in the Adolescent Athlete. Curr Rev Musculoskelet Med. 2021;14(2):144-151. PubMed ID: 33673893

    [2]Eberbach H et al. Operative versus conservative treatment of apophyseal avulsion fractures of the pelvis in the adolescents: a systematical review with meta-analysis. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2017;25(12):3923-3930. PubMed ID: 28197621

    [3]Di Maria F et al. Treatment of avulsion fractures of the pelvis in adolescent athletes: A scoping literature review. Front Pediatr. 2022;10:947463. PubMed ID: 36188380

    [4]Schuett DJ et al. Results of Non-operative and Operative Management of Pelvic Apophyseal Avulsion Fractures in Adolescent Athletes. J Pediatr Orthop. 2015;35(8):829-835. PubMed ID: 25494036

    [5]Reboli M et al. Reevaluation of the surgical indications for anterior inferior iliac spine avulsion fractures. J Orthop Surg Res. 2023;18(1):257. PubMed ID: 37024814

    [6]Bergman R et al. Anterior Inferior Iliac Spine Avulsion. StatPearls. 2024. PubMed URL: NCBI Bookshelf

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