外脛骨障害(有痛性外脛骨)とは?原因・症状・リハビリ・スポーツ復帰まで解説

今回は外脛骨障害(有痛性外脛骨/Accessory Navicular)について、症状、検査、治療、リハビリテーション、スポーツ復帰までわかりやすく解説します。

外脛骨障害では、足の内側の出っ張りが痛い押すと痛い、走ったりジャンプしたりすると痛む、といった症状がみられることがあります。

特に小児〜思春期の成長期に症状が出ることがあり、スポーツの負荷や靴との圧迫などが関係する場合があります[1][2]。

 

スポンサーリンク

外脛骨障害(有痛性外脛骨)とは?

外脛骨とは、足の内側にある舟状骨の近くにみられる副骨です(図1)。外脛骨があっても症状がない人は多く、外脛骨そのものが異常というわけではありません。

外脛骨の周囲に痛みや腫れが生じ、歩行やスポーツ活動に支障が出ている状態を外脛骨障害、または有痛性外脛骨と呼びます。

外脛骨障害の位置を示した足内側のイラスト
図1:外脛骨の位置のイメージ図。赤丸の位置に存在する副骨を外脛骨と呼びます。

外脛骨は、足部を支える働きを持つ後脛骨筋腱と関係が深い位置にあります(図2)。走る、跳ぶ、切り返すなどのスポーツ動作が増えたり、靴が突出部に当たったりすることで症状が出る場合があります。

扁平足を伴うこともありますが、扁平足があるから外脛骨が痛くなるとは限りません。足の形、後脛骨筋腱への負荷、スポーツ活動、靴との圧迫などを個別に評価することが大切です[1]。

外脛骨と後脛骨筋腱の位置関係を示した図
図2:外脛骨は後脛骨筋腱と関係が深い位置にあります。A:内側楔状骨、B:外脛骨、C:後脛骨筋腱、D:舟状骨。Micheli LJ et al. 2008[4]より引用し、Dは説明をするために追記しています。

外脛骨は、形態によって大きく3つのタイプに分類されます[2]。

  • タイプⅠ:小さな副骨が舟状骨とは離れて存在するタイプ
  • タイプⅡ:比較的大きく、舟状骨と線維性または軟骨性に連続するタイプ
  • タイプⅢ:舟状骨と骨性に癒合して大きな突出をつくるタイプ

外脛骨障害は小児〜思春期にみられることが多く、小児を対象とした研究では診断時の平均年齢は11.8歳でした[2]。ただし成人でも、外傷や運動負荷などをきっかけに症状が出ることがあります。

あきと
英語の文献では外脛骨はaccessory navicularと表記されます。「外脛骨があるか」だけではなく、「そこに痛みや機能低下があるか」を確認することが大切です。

主な症状と病院を受診する目安

外脛骨障害では、足の内側にある外脛骨周囲の圧痛や、運動時の痛みがみられます。靴が突出部に当たることで痛みが出ることもあります。

よくみられる症状

  • 足の内側の出っ張った部分を押すと痛い
  • 靴が当たると痛い
  • 歩く、走る、ジャンプすると痛い
  • つま先立ちや踏み込みで痛む
  • 運動後に外脛骨周囲が腫れることがある
外脛骨障害で圧痛が出やすい足内側の部位
図3:外脛骨障害の圧痛部位。足の内側にある外脛骨周囲に痛みが出やすくなります。

ただし、足の内側が痛いからといって外脛骨障害とは限りません。後脛骨筋腱障害足舟状骨疲労骨折足関節捻挫後の痛みなどが関係している場合もあります。

受診を検討したい症状

  • 歩く時にも足の内側が痛い
  • 腫れや熱感が強い、または安静にしていても痛い
  • 運動後の痛みが翌日まで強く残る
  • 痛みのためにつま先立ちやスポーツ動作が難しい
  • 急に強い痛みが出た、または症状が長引いている

特に、強い腫れや歩行困難、外傷後の急な痛みがある場合は、骨折など別の原因も含めて確認する必要があります。自己判断だけで運動を続けず、整形外科などで評価を受けることを検討してください。

病院で行う検査

病院では、まず痛みが出る場所や運動内容、最近の練習量、靴との当たり方などを確認します。診察では、外脛骨周囲の圧痛や腫れ、歩行、つま先立ち、片脚での動作などを確認します。

画像検査では、まずX線検査で外脛骨の有無や形態を確認することがあります(図4)。外脛骨が画像で確認できても、それだけで痛みの原因と判断するのではなく、症状が出ている場所や診察所見とあわせて評価することが重要です。

外脛骨を確認するためのX線画像
図4:外脛骨のX線画像。外脛骨の有無や形態を確認します。

症状が強い場合や他の疾患との鑑別が必要な場合には、MRI検査エコー検査で外脛骨周囲や後脛骨筋腱の状態を確認することがあります。骨の形態をより詳しく確認する必要がある場合には、CT検査が選択されることもあります。

外脛骨障害の治療

外脛骨障害では、まず保存療法を行うことが一般的です。小児の外脛骨障害でも、初期治療として保存療法が行われています[2]。

痛みが強くなるランニングやジャンプの量を一時的に調整し、外脛骨に当たりにくい靴を選ぶなど、症状を悪化させている負担を減らします。症状によっては、インソールや装具、短期間の固定などが検討されることもあります。

インソールを検討する場合

インソールは、足部の動きや荷重を調整し、外脛骨周囲への負担を減らす目的で使用されることがあります。

ただし、全員に必要なわけではありません。足の形、痛みの場所、競技動作、靴との相性を確認したうえで検討することが大切です。

外脛骨障害でインソールを検討する場面のイメージ

保存療法を続けても痛みが改善しにくく、日常生活やスポーツ活動への支障が大きい場合には、手術療法が検討されることがあります[3]。

手術では、外脛骨を摘出する方法や、後脛骨筋腱への処置を組み合わせる方法などがあります[3][4]。どの方法が適しているかは、外脛骨の形態や足部の状態、症状、競技レベルなどによって異なります。

手術後のリハビリは術式によって進め方が異なるため、執刀医・主治医の指示やプロトコルを優先してください。

保存療法で行う具体的なリハビリメニューについては、以下の記事も参考にしてみてください。

外脛骨障害のリハビリテーション

外脛骨障害のリハビリでは、決められた期間だけで次の段階へ進むのではなく、痛みや腫れ、動作、運動後・翌日の反応を確認しながら負荷を上げていくことが大切です。

外脛骨障害に対する細かな運動プログラムやスポーツ復帰基準については十分な研究があるわけではないため、以下は保存療法で進める場合の一般的な考え方として参考にしてください。

痛みや腫れが強い時期

まずは、外脛骨周囲の症状を悪化させている負荷を減らします。ランニングやジャンプを一時的に調整しても、痛みが出ないトレーニングまで全て休む必要があるとは限りません。

  • 痛みが強くなるランニング・ジャンプ量を調整する
  • 靴が外脛骨に強く当たっていないか確認する
  • 痛みを強く出さない範囲で足首・足部を動かす
  • 症状に応じて体幹や股関節など患部以外のトレーニングを続ける

あきと
走ることを減らす時期でも、できるトレーニングはあります。患部の症状を落ち着かせながら、体力をできるだけ維持していくことも大切です。

筋力と基本動作を戻す時期

歩行やつま先立ちでの痛みが落ち着いてきたら、足部・下腿の筋力や片脚で身体を支える能力を段階的に戻していきます。

タオルギャザーやショートフットエクササイズなどの足部トレーニングに加え、カーフレイズ、スクワット、ランジ、片脚スクワットなどを症状に合わせて進めます。

負荷を上げる時に確認したいポイント

  • 外脛骨周囲の圧痛や腫れが強くなっていない
  • カーフレイズで痛みが大きく増えない
  • 片脚動作で足部や下肢が大きく崩れない
  • トレーニング後から翌日に症状が明らかに悪化しない

ランニング・ジャンプへ戻す時期

歩行やカーフレイズが安定して行えるようになったら、片脚ホップ(ケンケン)、ジョギング、ランニングへ少しずつ負荷を上げていきます。

ジョギング再開を考える際は、歩行痛がほとんどないことに加えて、片脚カーフレイズやホップで痛みが強くならず、動作後から翌日に腫れや痛みが増えないことを確認します。

ジョギングが問題なく行えたら、距離やスピードを少しずつ増やし、その後にスプリント、ジャンプ、方向転換など競技に必要な動作へ進めていきます。

あきと
その場では動けても、翌日に痛みや腫れが強くなることがあります。負荷を上げた日は、翌朝の状態まで確認して次の練習量を決めましょう。

スポーツ復帰の考え方

外脛骨障害のスポーツ復帰は、「何週間たったか」や「痛みがなくなったか」だけでは判断しません。日常生活から競技動作まで負荷を段階的に戻し、症状が再び強くならないかを確認します。

復帰前に確認したいポイント

  • 日常生活や通常の歩行で症状がほとんどない
  • 片脚カーフレイズやホップを安定して行える
  • ランニング、ジャンプ、方向転換など競技に必要な動作を行える
  • 練習後から翌日に痛みや腫れが明らかに増えない
  • 靴による外脛骨への圧迫が強くない

復帰時は、いきなり通常練習へ戻すのではなく、部分参加から始めて、ランニング量、スピード、ジャンプや切り返しの回数などを段階的に増やします。

競技や症状の程度によって必要な確認項目は異なります。痛みが長引いている場合や復帰後に症状を繰り返す場合は、医師や理学療法士、アスレティックトレーナーなどと相談しながら負荷を調整しましょう。

まとめ

  • 外脛骨があるだけでは異常ではなく、痛みや機能低下がある状態を有痛性外脛骨と呼びます。
  • 足の内側の突出や圧痛、歩行・ランニング・ジャンプ時の痛みが続く場合は、医療機関での評価を検討しましょう。
  • 治療は保存療法から始めることが多く、症状に合わせてリハビリの負荷を段階的に上げていきます。
  • スポーツ復帰は期間だけで決めず、競技動作と運動後・翌日の反応まで確認することが大切です。

参考文献

[1]Vaughan P, Singh D. Ongoing pain and deformity after an excision of the accessory navicular. Foot Ankle Clin. 2014;19(3):541-553. PubMed ID: 25129360

[2]Wynn M et al. Effectiveness of Nonoperative Treatment of the Symptomatic Accessory Navicular in Pediatric Patients. Iowa Orthop J. 2019;39(1):45-49. PubMed ID: 31413673

[3]Wariach S et al. Assessing the Outcomes Associated with Accessory Navicular Bone Surgery-a Systematic Review. Curr Rev Musculoskelet Med. 2022;15(5):377-384. PubMed ID: 35776339

[4]Micheli LJ et al. Treatment of painful accessory navicular: a modification to simple excision. Foot Ankle Spec. 2008;1(4):214-217. PubMed ID: 19825720

 

スポンサーリンク
おすすめの記事