脊椎・腰椎圧迫骨折の症状・治療・リハビリ|背中や腰が痛い…
脊椎圧迫骨折では、背中から腰にかけて強い痛みが生じることがあります。特に尻もちや転倒のあとに症状が出た場合は注意が必要です。

背中や腰を強く痛めたあとに「起き上がれない」「寝返りがつらい」「歩くと響く」と感じる場合、筋肉や関節の痛みだけでなく脊椎(椎体)圧迫骨折が隠れていることがあります。

脊椎圧迫骨折は、骨粗鬆症を背景に高齢者へ起こることが多い骨折ですが、スポーツ中の転倒や衝突、背中からの落下など、強い外力によって若い選手に起こることもあります。

この記事では、脊椎圧迫骨折の症状と受診の目安、病院で行う検査、治療、リハビリ、日常生活・スポーツへの復帰について整理します。

この記事でわかること
  • 脊椎圧迫骨折とはどのような骨折か
  • 背中・腰に出やすい症状と受診の目安
  • レントゲン・MRI・CTで確認すること
  • 治療とリハビリの基本的な考え方
  • 日常生活・スポーツへ復帰するときのポイント

腰部の痛み全体について知りたい方は、↓の記事もあわせて確認してみてください。

 

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「転んだあとから背中や腰が強く痛い」「起き上がるのもつらい」という場合は、筋肉の痛みだけと決めつけず、骨折の可能性も考えて受診を検討することが大切です。
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脊椎圧迫骨折とは?

脊椎圧迫骨折とは、背骨を構成する椎体という骨が、上下方向から力を受けてつぶれるように変形する骨折です。一般的な楔状の圧迫骨折では、椎体の前方が低くなり、くさび形に変形することがあります。

正常な脊椎と脊椎圧迫骨折で椎体がつぶれた状態を比較した説明図
図1:正常な椎体と、脊椎圧迫骨折によって椎体がつぶれた状態を比較した模式図。

 

高齢者では、骨粗鬆症を背景に起こる圧迫骨折が多くみられます。骨が弱くなっていると、転倒や尻もちだけでなく、比較的小さな力をきっかけに発症することがあります。高齢、過去の脆弱性骨折、長期間のステロイド使用などがある場合は、骨粗鬆症の評価も重要です[1,2]。

一方、若いスポーツ選手では、ジャンプ後の強い着地、接触プレー、背中からの落下、スキーやスノーボードでの転倒など、高いエネルギーが加わったときに外傷性の脊椎骨折が起こることがあります。

脊椎圧迫骨折の受傷機転として尻もちや背中からの落下を示した説明図
図2:尻もちや背中からの落下などで背骨へ強い圧縮力が加わると、脊椎骨折が起こることがあります。

 

強い外傷では「圧迫骨折」だけで考えないことも重要です。椎体後壁まで損傷して骨片が脊柱管側へ突出する破裂骨折など、不安定性や神経への影響を伴う骨折もあります。そのため、受傷時の外力が強い場合は画像検査を含めた評価が必要です。

また、まれに腫瘍などによって骨が弱くなった病的骨折でも椎体の変形がみられるため、骨折の背景まで確認することが大切です。

主な症状と受診の目安

脊椎圧迫骨折では、背中から腰にかけての痛みが中心になります。特に、寝返り、起き上がり、立ち上がりなど、体幹に力が加わる動作で痛みが強くなることがあります。

  • 転倒や尻もちのあとから背中・腰が強く痛む
  • 寝返りや起き上がりで痛みが強くなる
  • 立つ・歩くと背中や腰に痛みが響く
  • 前かがみや体を動かしたときに痛む
  • 咳やくしゃみなどで痛みが増えることがある
脊椎圧迫骨折で生じやすい胸椎下部から腰椎の痛みの部位を示したイラスト
図3:脊椎圧迫骨折では、背中から腰にかけて痛みがみられ、寝返りや起き上がりなどの動作で強くなることがあります。

 

症状だけで圧迫骨折かどうかを判断することはできません。転倒や強い衝撃のあとに痛みが続く場合、高齢者や骨粗鬆症のある方に新しい背中・腰の痛みが生じた場合、ステロイド薬を長期間使用している場合などは、整形外科などへの受診を検討してください。外傷、高齢、ステロイド使用歴などは椎体骨折を考えるうえで参考になりますが、1つの症状や赤旗だけで診断できるわけではありません[1]。

受診を急いだ方がよい症状

次のような症状がある場合は、神経への影響やより重い脊椎外傷が隠れている可能性があるため、速やかな医療評価が必要です。

  • 脚のしびれや感覚低下、力が入りにくい
  • 歩きにくい、立つことが難しい
  • 排尿・排便に異常がある
  • 高所からの転落など強い外傷後に背中・腰の痛みが強い

また、発熱、原因不明の体重減少、がんの既往などを伴う背部痛では、圧迫骨折以外の原因も含めて早めに医療機関へ相談することが大切です。

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足のしびれや脱力、排尿・排便の異常がある場合は、「いつもの腰痛」として様子を見ず、医療機関で評価を受けることを検討してください。

病院で行う検査

病院では、受傷した状況、痛みが出る動作、神経症状の有無、骨粗鬆症や過去の骨折歴などを確認し、必要な画像検査を選択します。

レントゲン検査
椎体の高さや変形、背骨全体の配列などを確認します。ただし、骨折直後や圧潰が軽い場合には、レントゲンだけでは新しい骨折かどうか判断しにくいことがあります[2]。

MRI検査
骨髄の浮腫などから新しい骨折かどうかを確認したり、神経の通り道への影響やほかの病変を評価したりするために使用されます[2]。

CT検査
骨折線、椎体後壁、骨片など骨の形を詳しく確認できます。特に強い外傷や、破裂骨折などが疑われる場合に重要です。

骨粗鬆症の評価
骨粗鬆症が疑われる場合には、骨密度検査や必要に応じた血液検査を行います。骨粗鬆症性椎体骨折では、現在の骨折を治療するだけでなく、次の骨折を予防することも重要です[2]。

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レントゲン、MRI、CTは同じ目的で行う検査ではありません。「骨の変形を見る」「新しい骨折か確認する」「骨片や神経への影響を詳しく見る」など、確認したい内容によって使い分けます。

脊椎圧迫骨折の治療

治療方針は、骨折が骨粗鬆症性か外傷性か、骨折の安定性、痛み、神経症状、椎体の変形、年齢や活動レベルなどによって変わります。特に強い外傷による脊椎骨折では、単純な骨粗鬆症性圧迫骨折とは分けて治療方針を考える必要があります。

保存療法

神経症状がなく骨折が安定している場合は、痛みのコントロール、必要に応じた装具、日常生活動作の調整、リハビリなどを組み合わせた保存療法が検討されます[2,3]。

コルセットなどの装具が用いられることもありますが、すべての患者に同じ装具や装着期間が必要なわけではありません。骨折の状態や痛み、治療方針に合わせて判断されます[2,3]。

骨粗鬆症性の骨折では、鎮痛薬などによる症状の管理とあわせて、再骨折を防ぐための骨粗鬆症治療も重要になります[2]。

椎体形成術・手術が検討される場合

保存療法を行っても強い痛みが続く骨粗鬆症性椎体骨折などでは、経皮的椎体形成術やバルーン後弯形成術が治療選択肢として検討されることがあります。ただし、これらの治療の有効性や適応は患者の状態によって異なり、すべての圧迫骨折に行う治療ではありません[2,3]。

一方、神経症状を伴う、骨折が不安定である、脊柱管への骨片突出や大きな変形があるなどの場合には、脊椎外科的な治療が必要になることがあります。

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「圧迫骨折=必ず手術」ではありません。ただし、強い外傷や神経症状がある場合は別です。症状だけではなく、画像所見と骨折の安定性を合わせて治療方針を決めていきます。

脊椎圧迫骨折のリハビリテーション

ここでは、主に保存療法で骨折が安定していると判断された場合の基本的な考え方を紹介します。実際の進め方は、骨折の種類や画像所見、痛み、装具の有無などによって異なるため、主治医や理学療法士の指示を優先してください。

リハビリのポイント
  • 初期は痛みを増やさずに起きる・立つ・歩くことを優先する
  • 必要以上の長期安静による筋力・体力低下を防ぐ
  • 症状が落ち着いたら歩行、下肢・体幹機能を段階的に回復させる
  • 運動中だけでなく、その後や翌日の痛みも確認する

急性期〜回復初期

痛みが強い時期は、腹筋運動や強いストレッチを急いで行うのではなく、まずは痛みを大きく増やさずに日常動作を行えることを目指します。

寝返りや起き上がりでは、必要に応じて横向きになってから体を起こすなど、背骨へ急な負担がかかりにくい方法を練習します。歩行が許可されている場合は、短い距離から開始し、痛みの反応を確認しながら活動量を調整します。

骨折後に長期間活動量が低下すると、筋力や日常生活能力の低下につながります。高齢者を中心とした研究では、早期からリハビリへ関わることが日常生活能力の維持と関連する可能性が報告されています[4]。ただし、早く動けばよいという意味ではなく、骨折の安定性と医師の指示を確認したうえで進めることが前提です。

機能回復期

寝返り、起き上がり、立位、歩行などで痛みが大きく増えなくなってきたら、活動量を少しずつ戻していきます。股関節や下肢の筋力、体幹機能、バランス能力などを必要に応じて回復させます。

  • 歩行時間・距離を段階的に増やす
  • 股関節や下肢の筋力を回復させる
  • 骨折の状態に合わせて体幹トレーニングを進める
  • 高齢者ではバランスや転倒予防にも取り組む
  • 運動後や翌日に痛みが増えていないか確認する

急性期から強い前屈やひねり、反動をつけたストレッチ、痛みを我慢したトレーニングを行うことは避け、負荷を上げるタイミングは症状と骨折の状態に合わせて調整します。

日常生活・スポーツへの復帰

日常生活では、寝返り、起き上がり、歩行、階段などの基本動作を行っても痛みが大きく増えないことが1つの目安になります。仕事復帰については、デスクワークなのか、立ち仕事や重量物を扱う仕事なのかによって必要な機能が異なります。

スポーツ選手の脊椎骨折後の復帰については、疾患ごとに統一された高いレベルのエビデンスが十分にあるわけではありません。特に成人アスリートの腰椎骨折では、専門家の見解やほかの集団の研究を参考にしている部分もあります[5]。

スポーツ復帰で確認したいポイント

  • 日常生活や競技に近い動作で背中・腰の痛みがない、または十分に落ち着いている
  • しびれ、脱力などの神経症状がない
  • 体幹・下肢の筋力と必要な可動域が回復している
  • 走る・跳ぶなど競技に必要な負荷を段階的に行える
  • 練習後や翌日に症状が強く悪化しない

加えて、主治医によって骨折の安定性や治癒状況を確認することも重要です。特にラグビー、柔道などのコンタクトスポーツや、ジャンプ・着地の衝撃が大きい競技では、非接触練習から競技特異的な動作、コンタクトへと段階的に負荷を戻していきます[5]。

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スポーツ復帰は「受傷から何週間たったか」だけでは決めません。骨折の状態に加えて、痛み、神経症状、筋力、競技動作への耐容性、練習後や翌日の反応まで確認していきましょう。

まとめ

  • 脊椎圧迫骨折は、骨粗鬆症だけでなく強いスポーツ外傷でも起こることがあります。
  • 転倒・衝突後の強い背中や腰の痛み、寝返りや起き上がりでの強い痛みが続く場合は受診を検討しましょう。
  • しびれ・脱力・排尿排便の異常などがある場合は、神経への影響を考えて速やかな医療評価が必要です。
  • リハビリやスポーツ復帰は期間だけでなく、骨折の安定性、症状、機能、負荷後の反応を確認しながら段階的に進めます。

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    参考文献

    [1]Han CS et al. Red flags to screen for vertebral fracture in people presenting with low back pain. Cochrane Database Syst Rev. 2023;8(8):CD014461. PubMed ID: 37615643

    [2]Cho CH et al. Guideline summary review: an evidence-based clinical guideline for the diagnosis and treatment of adults with osteoporotic vertebral compression fractures. Spine J. 2025;25(8):1670-1687. PubMed ID: 39894268

    [3]Kawanishi M et al. Treatment for Osteoporotic Vertebral Fracture - A Short Review of Orthosis and Percutaneous Vertebroplasty and Balloon Kyphoplasty. Neurospine. 2023;20(4):1124-1131. PubMed ID: 38171282

    [4]Kobata T et al. Effectiveness of Early Rehabilitation for Vertebral Compression Fractures: A Retrospective Cohort Study. J Geriatr Phys Ther. 2021;44(3):139-143. PubMed ID: 32282616

    [5]Bonsignore-Opp L et al. Return to Play Criteria After Adult Lumbar Spinal Fractures: A Review of Current Literature and Expert Recommendations. Curr Rev Musculoskelet Med. 2024;17(4):83-92. PubMed ID: 38300472

     

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