SLJ病の症状・原因・リハビリ|成長期の膝前面痛

成長期の選手で、「膝のお皿の下が痛い」「ジャンプやダッシュをすると膝の前側が痛む」という場合、シンディング・ラーセン・ヨハンソン病(Sinding-Larsen-Johansson disease:SLJ病)が関係していることがあります。

SLJ病はスポーツをしている成長期の選手にみられる膝前面のスポーツ障害です。オスグッド病と似ていますが、痛みが出やすい場所は膝下の骨ではなく、お皿の骨(膝蓋骨)の下側です。

この記事では、SLJ病の症状や受診の目安、検査、治療、リハビリテーション、スポーツ復帰の考え方を分かりやすく整理します。

この記事でわかること

  • SLJ病ではどこが痛くなるのか
  • オスグッド病やジャンパー膝との違い
  • 受診を考えた方がよい症状
  • 治療・リハビリとスポーツ復帰の進め方

膝の痛み全体について知りたい方は、↓の記事ももあわせて確認してみてください。

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SLJ病とは?

SLJ病は、成長期の膝蓋骨下端、つまりお皿の骨の下側に起こるスポーツ障害です。主に活動量の多い小児・思春期の選手にみられます[1]。

大腿四頭筋の力は膝蓋骨から膝蓋腱を通して下腿へ伝わります。成長期には膝蓋骨下端がまだ成熟途中にあるため、走る・跳ぶ・キックするといった動作が繰り返されることで牽引ストレスが加わり、痛みにつながると考えられています[1]。

SLJ病 膝蓋骨下縁の痛み シンディングラーセンヨハンソン病
図1:SLJ病のイメージ図。お皿の骨(膝蓋骨)の下側に痛みが出ます。

SLJ病は、オスグッド病ジャンパー膝と痛む場所が近いため、区別が難しいことがあります。

  • SLJ病:膝蓋骨の下端が痛い
  • オスグッド病:膝蓋腱のさらに下にある脛骨粗面が痛い
  • ジャンパー膝:膝蓋腱や膝蓋骨への腱付着部が痛い

あきと
SLJ病は「成長期の選手に起こる、お皿の下側の痛み」と考えるとイメージしやすいです。ただし、痛む場所だけで自己判断せず、症状が続く場合は整形外科で確認しましょう。

SLJ病の症状と受診の目安

SLJ病では、膝蓋骨の下端に限局した痛みや押したときの痛みがみられます。初めはスポーツ中だけ痛み、負荷が続くと階段やスクワットなど日常動作でも症状が出ることがあります[1]。

  • 膝蓋骨の下端を押すと痛い
  • ジャンプ・着地、ダッシュ、キックなどで痛む
  • スクワットや階段昇降で膝の前側が痛む
  • 太ももの前側に強く力を入れたときに痛む
  • 前もものストレッチで膝蓋骨下端に痛みを感じることがある

これらはSLJ病だけにみられる症状ではありません。痛む場所やどの動作で症状が出るのかを確認することは参考になりますが、セルフチェックだけで診断することはできません。

早めに整形外科へ相談した方がよい症状

  • ジャンプやキックなどをきっかけに突然強く痛んだ
  • 膝の前側が大きく腫れている
  • 体重をかけて歩くことが難しい
  • 膝を自力で伸ばしにくい、または脚を伸ばしたまま持ち上げにくい
  • 痛みが続く、または徐々に強くなっている

成長期の膝蓋骨下端には、SLJ病以外に膝蓋骨スリーブ骨折などの急性外傷が起こることがあります。特に、急な強い痛みや腫れ、膝を伸ばせないといった症状がある場合は、早めの評価が重要です[2]。

病院で行う検査

SLJ病が疑われる場合は、まず痛みが始まった時期やスポーツの内容、急な外傷がなかったかを確認し、膝蓋骨下端の圧痛や膝を動かしたときの症状を評価します。

レントゲン検査では、膝蓋骨下端の骨化や骨片の状態、急性外傷の可能性などを確認します。ただし、SLJ病では画像所見だけで診断できないこともあります。

エコー検査では、膝蓋骨下端や膝蓋腱周囲の状態を確認することがあります[3]。症状が強い場合や診断がはっきりしない場合、他の病気との鑑別が必要な場合にはMRI検査が検討されることもあります[1]。

SLJ病は、年齢、痛みの場所、症状の経過、診察所見、必要に応じた画像検査を合わせて総合的に判断します。

SLJ病 レントゲン 膝蓋骨下縁

SLJ病の治療

SLJ病の多くは保存療法で改善を目指します。基本となるのは、症状を悪化させるスポーツ負荷を一時的に調整し、膝蓋骨下端への負担を減らすことです[1]。

すべてのスポーツ活動を一律に禁止するのではなく、歩行や日常生活、トレーニング中・運動後の症状をみながら負荷を調整します。ジャンプやダッシュで痛みが強くなる時期には、その動作の量や強度を下げることが必要です。

改善までの期間には個人差があります。SLJ病の治療やスポーツ復帰について質の高い研究はまだ少なく、一定の期間だけで「治った」と判断できるものではありません[1]。

あきと
「何週間休めば大丈夫」と決めるよりも、痛みがどう変化しているかを見ながら練習量を調整することが大切です。

SLJ病のリハビリテーション

SLJ病のリハビリでは、まず痛みを悪化させる負荷を調整し、そのうえでスポーツに必要な筋力や動作を段階的に戻していきます。

成長期の選手では、柔軟性、筋力、股関節や足関節の使い方なども個人によって異なります。そのため「これがSLJ病の原因」と決めつけるのではなく、実際の身体機能や競技動作を評価し、必要な部分にアプローチすることが大切です。

リハビリを進めるときのポイント

  • 運動中に痛みが強くならないか
  • 運動後に症状が悪化していないか
  • 翌日に痛みが増えていないか
  • 徐々にスポーツ動作の負荷を上げられているか

症状が落ち着いてきたら、スクワットなどの基本動作から始め、筋力トレーニング、ランニング、ジャンプ・着地へと負荷を高めていきます。競技によっては、加速・減速、方向転換、キックなども段階的に取り入れます。

具体的なストレッチやエクササイズは、以下の実践編で紹介しています。

あきと
その日の運動ができたかだけでなく、「運動後や翌日に痛みが増えていないか」まで確認すると、負荷を上げるタイミングを判断しやすくなります。

スポーツ復帰の目安

SLJ病には、すべての選手に共通する明確なスポーツ復帰基準が確立されているわけではありません[1]。そのため、休んだ期間だけではなく、症状とスポーツ動作への耐久性を確認しながら復帰を進めます。

スポーツ復帰前に確認したいポイント
  • 歩行や階段などの日常生活で痛みがほとんどない
  • スクワットやランニングを大きな痛みなく行える
  • ジャンプ・着地や競技に必要な動作を段階的に行える
  • 練習後から翌日に症状が悪化しない
  • 急性外傷や骨の状態に問題がある場合は、医師の評価を受けている

復帰するときは、ジョギングから始め、スピードを上げたランニング、ジャンプ・着地、方向転換、競技練習へと段階的に負荷を戻していきます。

「痛みがなくなったからすぐ試合に戻る」のではなく、競技で必要な動きを繰り返しても症状が悪化しないところまで確認することが大切です。

まとめ

  • SLJ病は、成長期の選手にみられる膝蓋骨下端のスポーツ障害です。
  • ジャンプやダッシュなどで膝のお皿の下が痛むことがありますが、症状だけで自己診断はできません。
  • 急な強い痛みや腫れ、膝を伸ばせない場合は、急性外傷を考えて早めに整形外科へ相談しましょう。
  • リハビリとスポーツ復帰は、期間だけではなく運動中・運動後・翌日の症状を確認しながら段階的に進めます。

参考文献

[1]Wilczyński B et al. Sinding-Larsen-Johansson disease. Clinical features, imaging findings, conservative treatments and research perspectives: a scoping review. PeerJ. 2024;12:e17996. PubMed ID: 39346060

[2]Devana SK et al. Clinical and Radiographic Differentiation of Pediatric Patellar Sleeve Fractures and Other Inferior Pole Pathologies. Am J Sports Med. 2022;50(4):977-983. PubMed ID: 35142232

[3]De Flaviis L et al. Ultrasonic diagnosis of Osgood-Schlatter and Sinding-Larsen-Johansson diseases of the knee. Skeletal Radiol. 1989;18(3):193-197. PubMed ID: 2665105

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