シーバー病とは?成長期の踵の痛み・原因・リハビリ・復帰目安を解説

今回はシーバー病(Sever disease/踵骨骨端炎)の対処法について解説します。

シーバー病は、成長期の子どもに多い踵の痛みです。走る、ジャンプする、つま先立ちをする動作で痛みが出やすく、症状が強い場合には歩くときに足を引きずることもあります。

一般的には成長とともに症状が落ち着いていくことが多いですが、痛みを我慢して運動を続けると長引くことがあります。痛みの程度に合わせて運動量を調整し、段階的にスポーツへ戻していくことが大切です。

 

この記事でわかること

  • シーバー病で踵が痛くなる理由
  • よくある症状と受診を考えたいサイン
  • 病院で行われる検査と治療
  • 運動量の調整とリハビリの進め方
  • スポーツ復帰を進めるときの目安

成長期のスポーツ障害や踵の痛みについて知りたい方は、↓の記事もあわせて確認してみてください。

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シーバー病とは?

シーバー病とは、成長期の踵骨骨端部に痛みが出るスポーツ障害です。日本語では踵骨骨端炎とも呼ばれます。

踵骨にはアキレス腱が付着しています。成長期は踵骨の骨端部がまだ成熟していないため、走る・ジャンプするなどの動作を繰り返すことで、アキレス腱からの牽引力や接地時の負荷が加わり、痛みにつながると考えられています[1][4]。

シーバー病で痛みが出やすい踵骨骨端部のイラスト
図1:シーバー病のイメージ図。アキレス腱が付着する踵骨骨端部周囲に痛みが出ることがあります。

 

踵骨の骨端部は小児期から徐々に骨化し、成長とともに踵骨本体と癒合していきます。この成熟時期には性別や個人による違いがあります[6]。

そのため、シーバー病は主に骨が成長している学童期から思春期前半にみられます。特にサッカー、バスケットボール、陸上競技、バレーボールなど、ランニングやジャンプを繰り返すスポーツで症状がみられることがあります[4]。

踵骨骨端線のX線画像
図2:踵骨骨端線のX線画像。骨端部の形態は成長とともに変化します。X線画像だけでシーバー病を診断することはできません。

 

以前は、X線画像でみられる踵骨骨端部の骨硬化や断片化がシーバー病の特徴として説明されることがありました。しかし、同年代の痛みがない子どもにも同様の所見がみられることが報告されています[3]。

そのため、X線所見だけではなく、痛みが出る場所や動作、圧痛、歩行、片脚つま先立ちなどを含めて総合的に評価することが大切です。

あきと
レントゲンで骨端部が分かれて見えても、それだけで異常とは限りません。成長期では正常な骨の成長過程でもみられるため、症状や診察所見とあわせて判断します。

シーバー病の主な症状と受診の目安

シーバー病では、踵の後方から後下方に痛みが出ることが多く、運動中や運動後に症状が強くなる傾向があります。

よくみられる症状

  • 踵を押すと痛い
  • 走る、ジャンプする、着地すると痛い
  • 片脚でつま先立ちをすると踵が痛い
  • 運動後や翌日に踵の痛みが強くなる
  • 痛みが強いと歩くときに足を引きずる

診察では、踵を左右から挟むスクイーズテストや片脚つま先立ちなどで痛みが誘発されることがあります[3]。ただし、これらは自分でシーバー病と診断するための検査ではありません。

シーバー病で片脚つま先立ちにより踵痛が誘発されるイメージ
図3:シーバー病の痛みのイメージ。片脚つま先立ちで踵に痛みが出ることがあります。

 

また、踵の痛みはシーバー病だけで起こるわけではありません。アキレス腱障害、踵骨疲労骨折、足底腱膜炎踵部脂肪体炎など、別の原因が関係している場合もあります。

受診を検討したい症状

  • 歩くと強く痛む、足を引きずっている
  • 踵の腫れや熱感が強い
  • 安静にしていても痛い、夜間にも痛む
  • 外傷後から強い踵の痛みが続いている
  • 数週間たっても痛みが改善しない、またはしびれなど別の症状がある

特に歩行が難しいほど痛む場合や、安静時・夜間にも痛みがある場合は、シーバー病以外の原因も含めて確認する必要があります。自己判断で運動を続けず、医療機関への相談を検討してください。

病院で行う検査

病院では、痛みが出る場所や動作、スポーツ種目、最近の練習量、症状の経過などを確認します。診察では踵の圧痛、歩行、片脚つま先立ち、スクイーズテストなどから、症状の特徴を評価します[3]。

シーバー病のスクイーズテスト
図4:スクイーズテスト。踵を左右から挟み、痛みが出るかを確認します。Perhamre et al. 2013[3]より引用。

 

X線検査は、すべてのケースで必要になるわけではありません。症状や経過に応じて、骨折など他の骨の異常がないかを確認する目的で行われます。シーバー病はX線所見だけで診断するものではありません[3]。

必要に応じてエコー検査で周囲組織を確認することもあります。症状が強い場合や経過が典型的ではなく、疲労骨折など別の疾患が疑われる場合にはMRI検査が検討されることもあります。

シーバー病の治療

シーバー病では、基本的に保存療法で改善を目指します。治療で重要なのは、痛みが出ている踵への負荷を一時的に減らしながら、日常生活やスポーツ活動を無理なく戻していくことです[2][5]。

走る、ジャンプする、ダッシュするなどで痛みが強くなる場合は、その動作の量や強度を調整します。すべての子どもが完全に運動を休む必要があるわけではありませんが、歩行痛がある場合や運動後に症状が大きく悪化する場合は、負荷を下げることが大切です。

治療で行われる主な対応
  • 痛みを誘発する運動量や強度の調整
  • 症状に合わせたストレッチや運動療法
  • 必要に応じたアイシングなどの疼痛管理
  • シューズ、踵パッド、ヒールカップ、インソールなどの調整

踵パッドやヒールカップ、インソールなどは、症状によって痛みの軽減に役立つことがあります。ただし、どの方法が全員に最も有効というわけではなく、痛みの出方やシューズとの相性に合わせて選ぶことが大切です[2][5]。

また、ふくらはぎや足関節の柔軟性に問題がある場合には、その状態に合わせた運動を行います。痛みを強く誘発するストレッチを無理に行う必要はありません。

シーバー病のリハビリテーション

リハビリでは、単に一定期間休むのではなく、痛みの反応を確認しながら、踵にかかる負荷を段階的に戻すことが重要です。

運動中だけでなく、運動後やその日の夜、翌朝に痛みが強くなっていないかも確認しましょう。翌日まで症状が強く残る場合は、負荷を上げすぎている可能性があります。

具体的なリハビリメニューは、以下の記事も参考にしてください。

痛みが強い時期

歩行やつま先立ちでも痛みがある時期は、まず症状を悪化させる負荷を減らします。ランニング、ジャンプ、ダッシュなどは一時的に量や強度を調整し、歩行時の痛みが落ち着いてくるかを確認します。

この時期のポイント
  • 歩行や日常生活で痛みを悪化させない
  • 痛みが強くなるランニングやジャンプを調整する
  • 必要に応じてアイシングなどで痛みを落ち着かせる
  • 症状を悪化させない範囲で下肢の筋力を維持する

つま先立ちや筋力トレーニングを進める時期

歩行時の痛みが落ち着き、体重をかけても症状が大きく悪化しなくなってきたら、カーフレイズなどの荷重トレーニングを段階的に行います。

必要に応じてスクワットやランジなどで下肢全体の筋力を戻し、足関節の動きやふくらはぎの柔軟性も確認します。足部や股関節などに明らかな機能低下がある場合には、その部分もあわせて改善していきます。

あきと
トレーニング中に問題がなくても、翌朝に踵の痛みが強くなる場合があります。「その場でできたか」だけでなく、翌日の反応まで確認しながら進めましょう。

ランニング・ジャンプへ戻す時期

片脚でのつま先立ちやカーフレイズが行いやすくなったら、ホップや軽いジョギングへ進みます。その後はランニング速度、ジャンプ、方向転換、競技特有の動作へと少しずつ負荷を高めていきます。

一度に距離・スピード・ジャンプ量をすべて増やすのではなく、どれか1つずつ調整すると症状の変化を確認しやすくなります。

ランニングへ進むときの確認ポイント

  • 日常生活や歩行で痛みがほとんどない
  • 片脚カーフレイズで強い痛みが出ない
  • 軽いホップやジャンプが行える
  • 運動後から翌日にかけて痛みが大きく増えない

スポーツ復帰の目安

シーバー病からのスポーツ復帰は、「何週間休んだか」だけでは判断できません。痛みの程度や競技種目、練習内容、成長段階によって経過が異なるため、基本動作から競技動作まで段階的に確認していきます。

復帰を進めるときの目安

  • 日常生活や歩行で痛みがない、または問題にならない程度まで落ち着いている
  • 片脚カーフレイズやホップを安定して行える
  • ランニング、ジャンプ、方向転換を段階的に行える
  • 競技用シューズを履いて競技動作を行っても症状が強くならない
  • 練習後から翌日にかけて痛みが大きく増えない

まずは練習の一部から参加し、ランニング量、スピード、ジャンプ量、競技特有の動作を少しずつ戻していきます。症状が再び強くなった場合は、無理にそのまま進めず、一度負荷を調整しましょう。

あきと
「痛みがなくなったから、すぐに通常練習へ戻る」ではなく、ジョギング、スピードアップ、ジャンプ、競技練習と少しずつ負荷を戻していくことが大切です。

まとめ

  • シーバー病は、成長期の子どもに多い踵骨骨端部の痛みです。
  • 走る・ジャンプする動作で痛みが出やすく、歩行が難しい場合や安静時にも痛む場合は医療機関への相談を検討します。
  • 治療では痛みを誘発する負荷を調整し、症状の反応を確認しながら段階的に運動を戻します。
  • スポーツ復帰は期間だけで決めず、カーフレイズ、ホップ、ランニング、競技動作と翌日の反応を確認しながら進めましょう。

参考文献

[1]Hendrix CL. Calcaneal apophysitis (Sever disease). Clin Podiatr Med Surg. 2005;22(1):55-62. PubMed ID: 15555843

[2]James AM et al. Effectiveness of interventions in reducing pain and maintaining physical activity in children and adolescents with calcaneal apophysitis (Sever's disease): a systematic review. J Foot Ankle Res. 2013;6:16. PubMed ID: 23641779

[3]Perhamre S et al. Sever's injury: a clinical diagnosis. J Am Podiatr Med Assoc. 2013;103(5):361-368. PubMed ID: 24072363

[4]Nieto-Gil P et al. Risk factors and associated factors for calcaneal apophysitis (Sever's disease): a systematic review. BMJ Open. 2023;13:e064903. PubMed ID: 37280033

[5]Hernandez-Lucas P et al. Conservative Treatment of Sever's Disease: A Systematic Review. J Clin Med. 2024;13(5):1391. PubMed ID: 38592198

[6]Blythe CS et al. Quantifying the ossification and fusion of the calcaneal apophysis using computed tomography. J Anat. 2022;241(2):484-499. PubMed ID: 35468228

 

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