五十肩の症状・治療・リハビリ|肩が痛くて上がらない

今回は五十肩(肩関節周囲炎)について、肩が上がらない、背中に手を回しにくい、夜に肩が痛むといった症状から、病院で行う検査・治療・リハビリまでわかりやすく整理していきます。

一般に「五十肩」と呼ばれる状態には幅があります。医学的には肩関節周囲炎と説明されることもありますが、この記事では特に、肩の痛みと自分で動かしても、人に動かしても肩が動きにくい状態を特徴とする凍結肩(frozen shoulder/adhesive capsulitis)に近い状態を中心に解説します。

症状の経過には個人差があり、数か月で楽になる方もいれば、年単位で痛みや動かしにくさが残ることもあります[1][2]。大切なのは、「五十肩だからそのうち治る」と決めつけず、症状に合わせて負荷を調整することです。

この記事でわかること
  • 五十肩で起こりやすい痛み・可動域制限
  • 病院を受診した方がよい症状と検査の考え方
  • 注射や関節包拡張術などの治療方法
  • 痛みや動きに合わせたリハビリと仕事・スポーツ復帰の考え方

肩の痛み全体について知りたい方は、↓の記事もあわせて確認してみてください。

特に、若い方やスポーツ選手の肩の痛みでは、腱板損傷肩インピンジメント症候群肩関節唇損傷など、別の原因を考える必要がある場合もあります。

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五十肩(肩関節周囲炎・凍結肩)とは?

五十肩は40〜60歳代を中心にみられる肩の痛みの通称です。特に凍結肩では、徐々に肩が痛くなり、自動運動だけでなく他動運動でも可動域が制限されることが特徴です[1]。

肩関節を包んでいる関節包などに変化が起こり、肩が硬くなっていくと考えられていますが、なぜ発症するのかを1つの原因だけで説明することはできません。明らかなきっかけがなく徐々に始まる場合も多く、糖尿病や甲状腺疾患などがある方では発症しやすいことも報告されています[1]。

一方で、転倒やスポーツ中の接触など、はっきりした外傷のあとから強い痛みが出た場合は、骨折や腱板損傷など別のケガがないか確認することが大切です。

若い人にも五十肩は起こるの?
30代以前の方やスポーツ選手の肩の痛みでは、典型的な凍結肩以外に、腱板損傷、肩関節不安定症、関節唇損傷などを考える必要があります。
年齢だけで診断できるものではないため、「肩が上がらない=五十肩」と自己判断しないことが大切です。

経過は便宜上、痛みが強い時期、肩の硬さが目立つ時期、少しずつ改善していく時期に分けて説明されることがあります。ただし、全員が同じ順番・同じ期間で経過するわけではなく、「半年たてば必ず次の段階へ進む」といったものではありません[2]。

五十肩の主な症状と受診の目安

代表的な症状は肩の痛み可動域制限です。

  • 腕を上げると痛い、または途中までしか上がらない
  • 背中に手を回しにくく、着替えやエプロンの紐がつらい
  • 洗髪や髪を結ぶ動作が難しい
  • 寝返りや肩を下にして寝ると痛む
  • 自分で動かすだけでなく、人に動かしてもらっても肩が動きにくい

特に凍結肩では、肩を外側へ回す外旋をはじめ、複数方向の動きが制限されることがあります[1]。ただし、これらの症状だけで五十肩と診断することはできません。

似た症状は、腱板損傷、石灰沈着性腱板炎、肩インピンジメント症候群頚椎由来の神経症状などでも起こります。

早めに受診を考えたい症状
  • 転倒や衝突のあとから強い痛みがあり、腕を上げられない
  • 肩に強い腫れ・赤み・熱感があり、発熱も伴う
  • しびれや手・腕の力の入りにくさが強い、または悪化している
  • 安静にしていても強い痛みが続き、急速に悪化している

胸の痛み、息苦しさ、冷や汗などを伴う肩周辺の痛みは、肩以外の病気が関係している可能性があります。このような場合は整形外科の通常受診を待たず、救急受診を検討してください。

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あきと
五十肩では夜間痛が出ることも珍しくありません。ただし、眠れないほどの痛みが続く、急に悪化した、しびれや筋力低下があるといった場合は、一度医療機関で原因を確認してもらうと安心です。

病院で行う検査・診断

凍結肩は、基本的には問診と身体診察を中心に診断します[1]。

診察では、痛みが始まった時期やきっかけを確認し、自分で肩を動かす自動可動域と、医師や理学療法士などが肩を動かす他動可動域を評価します。特に外旋を含めて肩の動きがどの程度制限されているかを確認します。

また、腱板損傷や神経の問題などを見分けるために、肩の筋力、しびれの有無、首の動きなども必要に応じて確認します。

レントゲン検査では骨折、変形性関節症、石灰沈着など、別の原因がないかを確認します。エコー検査MRI検査は、腱板損傷など他の病気が疑われる場合の補助として用いられます[1]。

MRIやエコーだけで凍結肩と診断するのではなく、症状や可動域の評価と組み合わせて判断することが大切です。

五十肩の治療

治療は保存療法が基本です。痛みをコントロールしながら、現在の症状に合わせて肩を少しずつ動かしていきます[1]。

痛みが強い場合には、医師の判断で鎮痛薬などが使用されることがあります。また、関節内ステロイド注射は、特に短期的な痛みや機能の改善に役立つ可能性が示されています[1][3]。

肩の硬さが強い場合には、関節内へ液体を注入して関節包を拡張する関節包拡張術(hydrodilatation)が検討されることもあります。外旋可動域や日常生活上の不自由さが一時的に改善する可能性がありますが、すべての方に必要な治療ではありません[1][4]。

保存療法を続けても強い拘縮や生活上の支障が残る場合には、麻酔下徒手授動術(MUA)などが検討されることがあります。麻酔によって痛みを抑えた状態で肩を動かし、硬くなった関節包などに徒手的なストレスを加えて可動域の改善を目指す方法です。

MUA後に可動域が改善する報告がある一方、明確な適応基準は一定しておらず、骨折や軟部組織損傷などの合併症もゼロではありません[5]。そのため、保存療法の経過や症状、他の治療選択肢を含めて専門医と相談して判断します。

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あおい

サイレントマニピュレーションとは違うんですか?

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あきと
国内では、超音波で確認しながら頚部の神経根ブロックを行い、その麻酔下で肩を動かす方法が「サイレントマニピュレーション」と呼ばれることがあります[6]。一般的なMUAとは麻酔方法などが異なります。可動域改善を報告した研究はありますが、観察研究が中心のため、効果や適応については専門医と相談して判断しましょう。

五十肩のリハビリテーション

五十肩のリハビリでは、「たくさん動かせば早く治る」と考えないことが大切です。痛みや可動域の状態を確認しながら、その時期に合った負荷へ調整していきます。

痛みが強い時期
  • 強い痛みが出る動作やストレッチを繰り返さない
  • 日常生活で肩に負担が集中する動作を調整する
  • 痛みの少ない範囲で肩・肩甲帯・胸郭を動かす
  • 睡眠時は腕の下にクッションを入れるなど、楽な位置を探す

夜間痛があるからといって、それだけで「炎症期」と決められるわけではありません。痛みが強いときは、無理に可動域を広げようとせず、まず日常生活や睡眠を妨げる痛みを落ち着かせることを優先します。

冷やす・温めるといった方法は痛みを和らげるための補助として使えます。どちらが合うかには個人差があるため、使用後に楽になる方法を選びましょう。

肩の硬さが中心になってきた時期
  • 痛みの反応を見ながら肩の可動域運動を少しずつ進める
  • 肩甲帯や胸郭も無理のない範囲で動かす
  • 軽い負荷から肩周囲の筋力トレーニングを取り入れる
  • 着替えや洗髪など、必要な日常動作へ少しずつ広げる

ストレッチでは、強く引っ張ることよりも「終わったあとに痛みが大きく残らない強さ」で継続することがポイントです。

回復してきた時期
  • 必要な方向への可動域をさらに広げる
  • 肩周囲筋や肩甲帯の筋力を段階的に高める
  • 仕事やスポーツに必要な動作を取り入れる
  • 負荷を上げたあとの痛みやこわばりを確認する

リハビリを進めるときは、その場で痛くなかったかだけでなく、運動後・その日の夜・翌日の症状も確認してください。翌日まで痛みが大きく増える場合は、一度負荷を下げた方が進めやすいことがあります。

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あきと
「固まるのが怖いから」と強い痛みを我慢してストレッチを続ける必要はありません。反対に、痛いからと長期間まったく動かさないのでもなく、今できる範囲を少しずつ広げていくイメージで進めましょう。

仕事・運動・スポーツへの復帰

五十肩からの復帰は、「何か月たったか」だけでは判断できません。仕事や競技で必要になる肩の動きが違うため、症状と機能を確認しながら段階的に戻していきます。

  • 日常生活:着替え、洗髪、寝返りなどが強い痛みなく行える
  • 可動域:仕事や競技に必要な方向まで肩を動かせる
  • 筋力:腕を上げる、物を持つなど必要な動作を安定して行える
  • 競技動作:投球、ラケット動作、コンタクトなどを低い負荷から段階的に行える
  • 症状反応:運動後や翌日に痛み・こわばりが大きく悪化しない

特に投球競技やラケット競技など、肩に大きな負荷がかかるスポーツでは、「痛みがなくなった=すぐ競技復帰」とは考えません。可動域、筋力、競技動作への負荷耐性を確認しながら復帰しましょう。

FAQ(よくある質問)

Q1. 五十肩は放っておけば自然に治りますか?

自然に改善していく方は多いですが、すべての方が短期間で元の状態まで回復するとは限りません。長期間にわたって痛みや可動域制限が残るケースも報告されています[2]。生活に支障がある場合は、「そのうち治る」と我慢し続けず、医療機関やリハビリで相談することを検討してください。

Q2. 五十肩は温めた方がいいですか?冷やした方がいいですか?

どちらか一方がすべての方に適しているわけではありません。ズキズキした痛みが強いときに冷やすと楽になる方もいれば、動かしにくさが中心のときに温めると動きやすく感じる方もいます。使用後の痛みや動きやすさを目安にしてください。

まとめ

  • 五十肩では肩の痛みだけでなく、自動・他動ともに可動域が制限されることがあります。
  • 外傷後の強い痛み、発熱・腫れ、進行するしびれや筋力低下などがある場合は早めの受診が大切です。
  • 治療・リハビリは病期だけで決めず、現在の痛み・可動域・日常生活への影響に合わせて調整します。
  • 仕事やスポーツへは、可動域・筋力・必要な動作と翌日の症状反応まで確認しながら段階的に戻しましょう。

参考文献

[1]Lee BC et al. Clinical Practice Guidelines for Diagnosis and Non-Surgical Treatment of Primary Frozen Shoulder. Ann Rehabil Med. 2025;49(3):113-138. PubMed ID: 40602400

[2]Wong CK et al. Natural history of frozen shoulder: fact or fiction? A systematic review. Physiotherapy. 2017;103(1):40-47. PubMed ID: 27641499

[3]Sun Y et al. Intra-articular Steroid Injection for Frozen Shoulder: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials With Trial Sequential Analysis. Am J Sports Med. 2017;45(9):2171-2179. PubMed ID: 28298050

[4]Poku D et al. Efficacy of hydrodilatation in frozen shoulder: a systematic review and meta-analysis. Br Med Bull. 2023;147(1):121-147. PubMed ID: 37496207

[5]Kraal T et al. Manipulation under anaesthesia for frozen shoulders: outdated technique or well-established quick fix? EFORT Open Rev. 2019;4(3):98-109. PubMed ID: 30993011

[6]Park K et al. Effect of manipulation technique using ultrasound-guided cervical nerve root block on range of motion at the shoulder joint in frozen shoulder: a retrospective study. J Exp Orthop. 2022;9(1):63. PubMed ID: 35792941

 

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