タナ障害(滑膜ヒダ障害)の症状・原因・リハビリ|膝の引っかかりを解説

膝の曲げ伸ばしで「引っかかる感じ」がしたり、膝のお皿の内側で「コリコリ」「ゴリゴリ」と音がしたりすることはありませんか?

その症状には、タナ障害(滑膜ヒダ障害)が関係している可能性があります。

タナ障害では、膝の中にある滑膜ヒダが刺激されることで、膝のお皿の内側を中心に痛みや引っかかり感が出ることがあります。ただし、似た症状は半月板損傷や軟骨損傷などでも起こるため、症状だけで自己判断することはできません。

この記事では、タナ障害の主な症状、受診の目安、病院で行う検査、治療、リハビリ、スポーツ復帰の考え方についてわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • タナ障害とはどのような状態か
  • 膝の痛み・引っかかりなどの主な症状と受診の目安
  • 病院で行う検査と治療の考え方
  • リハビリとスポーツ復帰の進め方

膝の痛み全体について知りたい方は、↓の記事ももあわせて確認してみてください。

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タナ障害とは?

タナ障害とは、膝関節の中にある滑膜ヒダが刺激され、痛みや引っかかり感などの症状を起こしている状態です(図1)。

滑膜ヒダは膝の中に存在することがある構造で、滑膜ヒダがあること自体は異常ではありません。この記事では、タナ障害の中でも症状の原因となることが多い内側滑膜ヒダ(mediopatellar plica)を中心に解説します。

スポーツや運動などで膝の曲げ伸ばしをくり返したり、膝をぶつけたりすることで滑膜ヒダが刺激されると、厚くなったり炎症を起こしたりして、大腿骨など周囲の組織と接触することがあります。その結果、膝の前〜内側の痛みやクリック、引っかかり感につながることがあります[4]。

タナ障害のイメージ図|膝内側の滑膜ヒダと痛み・引っかかり感
図1:タナ障害のイメージ図。膝内側にある滑膜ヒダが刺激され、痛みや引っかかり感を起こしている状態を示しています。

症状は、スクワットや階段、ランニング、自転車など、膝の曲げ伸ばしをくり返す動作で出ることがあります[4]。

ただし、「膝の使い方が悪い」「股関節が弱い」など、1つの要因だけでタナ障害になるとは限りません。スポーツ量や症状が出る動作、膝周囲の状態などを個別に確認することが大切です。

 

タナ障害の主な症状と受診の目安

タナ障害では、膝のお皿の内側から前内側にかけて痛みが出ることが多く、膝を曲げ伸ばしたときのクリックや引っかかり感を伴うことがあります[4]。

  • 膝のお皿の内側を押すと痛い
  • 膝の曲げ伸ばしで引っかかる、クリックする感じがある
  • スクワットや階段で膝の前〜内側が痛い
  • ランニングや自転車などを続けると痛みが出る
  • 運動後に膝が腫れぼったく感じることがある

あきと
膝の音は「コリ」「ボリ」「ゴリ」「パキ」など、さまざまに表現されます。音が鳴るだけで痛みや腫れがなければ、それだけでタナ障害とは判断できません。

膝の引っかかりやクリックは、タナ障害だけにみられる症状ではありません。半月板損傷や軟骨損傷、膝蓋大腿関節痛などでも似た症状が出ることがあります。

自分で確認する場合は、「タナ障害かどうか」を判断するのではなく、次のような症状を整理しておきましょう。

  • 痛みがお皿の内側にあるか
  • どの角度・動作で痛みや引っかかりが出るか
  • 音だけなのか、痛みも伴うのか
  • 運動後や翌日に痛み・腫れが増えるか

次のような症状がある場合は、整形外科での評価を検討してください。

  • 膝が引っかかって伸びない、いわゆるロッキングがある
  • 膝が大きく腫れている、膝崩れや強い不安定感がある
  • 転倒や捻り、打撲のあとから強い痛みが続いている
  • 運動量を調整しても痛みや引っかかりが改善しない
  • スポーツを再開すると症状をくり返す

特にロッキングや大きな腫れがある場合は、半月板損傷など別のケガが隠れていることもあるため、タナ障害と自己判断せず確認することが大切です。

 

病院で行う検査

タナ障害の診断では、画像検査だけでなく、痛みが出る場所や動作、触診、膝を曲げ伸ばしたときの症状などを総合的に確認します。

問診・触診
いつから症状があるのか、どのような動作で痛むのか、外傷やスポーツ量の変化がなかったかなどを確認します。膝のお皿の内側に圧痛があるか、膝を動かしたときに痛みやクリックが再現されるかなども評価します。

徒手検査
医療機関では、mediopatellar plica test(MPP test)など、滑膜ヒダによる症状を確認するための徒手検査が行われることがあります[2][3]。ただし、1つの検査だけで診断するのではなく、他の所見と組み合わせて判断します。

タナ障害 スペシャルテスト rotation valgus test holding test
図2:タナ障害のスペシャルテスト。左図:rotation valgus test、右図:holding test。文献1より引用しています。

MRIなどの画像検査
MRIでは滑膜ヒダの形態を確認できることがありますが、滑膜ヒダは症状のない人にも存在します。そのため、MRIで滑膜ヒダが見えることだけでタナ障害と診断するわけではありません。

MRIは、半月板損傷や軟骨損傷など、似た症状を起こす他の病態を確認する目的でも使用されます。診断精度を検討したシステマティックレビューでも、タナ障害は画像検査だけではなく臨床所見を含めて評価することの重要性が示されています[3]。

 

タナ障害の治療

タナ障害では、まず保存療法で改善を目指すことが一般的です[5]。

症状を誘発しているスポーツや膝の曲げ伸ばしの量を一時的に調整し、痛みや腫れを落ち着かせながら、必要に応じてリハビリを行います。痛みや炎症が強い場合には、医師の判断で消炎鎮痛薬などが使用されることもあります。

適切な保存療法を行っても痛みや引っかかりが続き、日常生活やスポーツに大きな支障が残る場合には、関節鏡を用いて症状の原因となっている滑膜ヒダを切除する手術が検討されることがあります[1][5]。

ただし、手術が必要かどうかは症状、診察所見、他の膝関節病変の有無、保存療法への反応などを含めて判断します。

 

タナ障害のリハビリテーション

リハビリでは、「滑膜ヒダそのものを治す運動」を行うというよりも、症状を悪化させる負荷を調整しながら、膝や下肢の機能を段階的に戻していくことが基本になります。

股関節や太ももの柔軟性、膝周囲の筋力、片脚動作なども評価しますが、これらをタナ障害の原因と決めつけず、その人にみられる問題に応じて介入することが大切です。

リハビリを進めるためのチェックポイント
・運動中の痛みや引っかかりが強くなっていない
・運動後に腫れが増えていない
・当日夜から翌朝に症状が悪化していない
・スクワットや片脚動作を安定して行える

症状が強い時期

痛みや腫れぼったさが強い時期は、まず滑膜ヒダへの刺激を減らします。

  • 痛みを誘発するランニング、スクワット、ジャンプなどの量や強度を調整する
  • 痛みのない範囲で膝の曲げ伸ばしを保つ
  • 熱感や運動後の腫れがある場合は、状態に応じてアイシングを利用する
  • 痛みを悪化させない範囲で膝周囲の筋力を維持する

アイシングを行う場合は、皮膚の状態を確認しながら10〜20分程度を目安にし、直接氷を当て続けるなど過度な冷却は避けましょう。

症状が落ち着いてから

日常生活での痛みや腫れが落ち着いてきたら、筋力や動作を段階的に戻していきます。

大腿四頭筋など膝周囲の筋力に加え、必要に応じて股関節周囲の筋力や下肢の柔軟性も改善します。特定の筋肉だけを鍛えればよいわけではなく、評価でみつかった問題に合わせて内容を選びます。

  • 大腿四頭筋など膝周囲の筋力トレーニング
  • 必要に応じた太もも・股関節周囲のストレッチ
  • スクワットやステップなどの両脚荷重動作
  • 片脚スクワットなどの片脚荷重動作
  • ランニング、ジャンプ、減速・方向転換への段階的な移行

あきと
運動中にできたかだけでなく、その日の夜や翌朝に痛み・腫れ・引っかかりが増えていないかも確認しましょう。翌日に悪化する場合は、運動量や強度がまだ高い可能性があります。

手術を行った場合は、術後の状態や同時に処置した部位によってリハビリの進め方が変わります。執刀医・主治医から指示されたプロトコルを優先してください。

 

スポーツ復帰の目安

タナ障害からのスポーツ復帰を「○週間経過したから」という期間だけで決めることはできません。症状の程度や競技によっても異なるため、日常生活から競技動作へ段階的に負荷を上げて確認します。

復帰を進める際は、次のような状態を目安にします。

  • 歩行や階段など日常生活で痛みや腫れがほとんどない
  • スクワットや片脚動作で痛み・引っかかりが悪化しない
  • ジョギングから競技に必要なスピードまで段階的に上げられる
  • ジャンプ、着地、減速、方向転換など競技に必要な動作を行える
  • 練習後から翌朝に痛みや腫れが増えない

途中で症状が再び強くなる場合は、直前の負荷へ戻して運動量や強度を調整します。痛みや引っかかりをくり返す場合は、自己判断で競技を続けず、医師や理学療法士、アスレティックトレーナーなどに相談しながら復帰を進めることを検討してください。

 

まとめ

  • タナ障害は、膝の滑膜ヒダが刺激され、膝の前〜内側の痛みや引っかかりを起こす状態です。
  • 膝の音や引っかかりだけでは診断できず、半月板損傷など似た症状を起こすケガとの鑑別が重要です。
  • 治療は保存療法から始めることが多く、リハビリでは負荷を調整しながら膝・下肢の機能を段階的に戻します。
  • スポーツ復帰は期間だけで決めず、競技動作と運動後・翌日の症状まで確認して進めましょう。

 

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参考文献

[1]Koshino T, Okamoto R. Resection of painful shelf (plica synovialis mediopatellaris) under arthroscopy. Arthroscopy. 1985;1(2):136-141. PubMed ID: 4091919

[2]Kim SJ et al. The relationship between the MPP test and arthroscopically found medial patellar plica pathology. Arthroscopy. 2007;23(12):1303-1308. PubMed ID: 18063174

[3]Stubbings N, Smith T. Diagnostic test accuracy of clinical and radiological assessments for medial patella plica syndrome: a systematic review and meta-analysis. Knee. 2014;21(2):486-490. PubMed ID: 24280039

[4]Lee PYF et al. Synovial Plica Syndrome of the Knee: A Commonly Overlooked Cause of Anterior Knee Pain. Surg J (N Y). 2017;3(1):e9-e16. PubMed ID: 28825013

[5]Franco P et al. Surgical and conservative management of medial plica syndrome: A systematic review and meta-analysis of functional outcomes. J Exp Orthop. 2025;12(4):e70473. PubMed ID: 41189766

 

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