
今回はJones骨折(ジョーンズ骨折、第5中足骨近位部の疲労骨折)をしてしまったときの対処法について解説します。
Jones骨折は、サッカーやバスケットボールなど、切り返し動作の多いスポーツで発生しやすい疲労骨折です。
第5中足骨の外側にくり返し負荷が加わることで起こり、治りにくい骨折のひとつとして知られています。
プレーを続けるか、休んで治療するか、手術を検討するかなど、治療方針の判断が難しいケガでもあります。
今回は、Jones骨折の症状、検査、治療方針、リハビリテーション、スポーツ復帰の目安について整理していきます。
- Jones骨折とは何か
- Jones骨折が起こりやすいスポーツ動作
- よくある症状と受診目安
- 病院で行う検査
- 保存療法と手術療法の考え方
- 骨の治癒を助けるために考えたいこと
- リハビリテーションの流れ
- スポーツ復帰と再発予防のポイント
足の痛みについて知りたい方は、足部・足関節の痛みをまとめた記事も参考にしてみてください。
目次
Jones骨折とは?
Jones骨折とは、足の甲の外側にある第5中足骨の近位部に生じる骨折の一種です。
第5中足骨にくり返し負荷が加わることで、金属疲労のように徐々にヒビが入り、進行すると完全骨折に至ることがあります。
ヒビの段階で見つかることもありますし、スポーツ中に痛みが強くなり、完全骨折してから気づくこともあります。
なお、第5中足骨の骨折にはいくつかのタイプがあります。一般的に「Jones骨折」と呼ばれるものは、第5中足骨近位部の特定部位に生じる骨折であり、第5中足骨の骨折すべてがJones骨折というわけではありません。

Jones骨折は治りにくい場所に発生するため、スポーツ選手では手術療法が選択されることもあります。
過去の研究では、急性Jones骨折に対して、早期スクリュー固定はギプス固定よりも骨癒合やスポーツ復帰までの期間が短かったと報告されています[1]。
一方で、治療方針は骨折の状態、競技レベル、復帰時期、年齢、痛み、画像所見などによって変わります。自己判断せず、専門医と相談して方針を決めることが大切です。
Jones骨折を起こしやすいシーン
Jones骨折は、方向転換動作のくり返しで起こりやすいと言われています。
特に、足の外側に体重が乗ってしまう動きや、靴の外側がすり減りやすいような外側荷重のクセがある選手は注意が必要です。
サッカー、バスケットボール、ラグビー、陸上競技など、スプリント、切り返し、ジャンプ着地が多いスポーツで問題になりやすいケガです。
踏み込みや切り返しの際に「バキッ」という音がした、急に足の外側が痛くなった、体重をかけられない、といった場合は早めに医療機関を受診しましょう。
Jones骨折のよくある症状
- 足の外側が強く痛い
- 足の外側が腫れている
- 体重をかけて歩くことが難しい
- 踏み込みや切り返しで急に痛くなった
- 受傷時に音がした、または強い違和感があった
- 足の外側を押すと痛い
- プレー中に体重がかかると痛い
- 切り返しやジャンプ着地で足の外側が痛い
- 練習後に足の外側が痛む
- 痛みが出たり引いたりする
早めに受診した方がよいサイン
Jones骨折は、完全骨折に進行したり、治癒に時間がかかったりすることがあるため、早期発見が重要です。
- 足の外側を押すと痛い
- 切り返しやジャンプで足の外側が痛い
- 歩くと足の外側が痛い
- 練習後に足の外側の痛みが続く
- 痛みが数日〜数週間続いている
- 踏み込み動作で急に痛くなった
- 体重をかけるのが難しい
- 過去にJones骨折や疲労骨折をしたことがある
病院で行う検査
Jones骨折の診断では、まずレントゲン検査で第5中足骨の骨折線や骨の状態を確認します。
ただし、疲労骨折の初期ではレントゲンに写りにくいこともあります。そのため、骨の炎症や疲労骨折の早期変化を確認する目的でMRI検査を行うことがあります。
また、骨折線の状態や骨癒合の進み具合を詳しく確認するためにCT検査を行うこともあります。
スクリーニング目的でエコー検査を用いる場合もありますが、治療方針の判断にはレントゲン、MRI、CTなどの画像評価が重要になります。
診察では、問診、痛みのある場所の触診、荷重時痛の確認、歩行やジャンプ動作の確認などを行います。

Jones骨折と診断されたら
Jones骨折と診断された場合、保存療法と手術療法のどちらを選択するかを検討します。
完全骨折では、スポーツ選手の場合、手術療法が選択されることがあります。
ヒビや疲労骨折初期の場合でも、保存療法で治療するのか、手術療法を検討するのか、あるいは競技活動をどの程度制限するのかを慎重に決める必要があります。
- 完全骨折:競技レベルや骨折の状態によっては手術療法が検討されます。
- ヒビ・疲労骨折初期:保存療法、競技制限、手術療法などを画像所見と症状に応じて検討します。
治療方針の選択は非常に重要です。専門医と相談し、骨折の状態、復帰時期、競技レベル、再骨折リスクを踏まえて判断しましょう。
ヒビの場合の治療選択で考慮すべきこと
ヒビや疲労骨折初期の場合、実際には以下のような選択肢があります。
- プレーを休んで骨の治癒を優先する
- 医師の管理下でプレー制限をしながら経過を見る
- プレーを休んで手術療法を検討する
それぞれにメリットと注意点があります。
| 休んで骨の治癒を優先する | 管理下でプレー制限を行う | 手術療法を検討する | |
| メリット | 完全骨折へ進行するリスクを下げやすい | 競技活動を完全には止めずに対応できる場合がある | 早期復帰を目指す選手で選択されることがある |
| 注意点 | 骨癒合に時間がかかる場合がある | 完全骨折へ進行するリスクがあるため慎重な管理が必要 | 手術に伴う合併症や再骨折のリスクも考慮する必要がある |
単純に休めば必ず早く治る、手術をすれば必ず早く復帰できる、というわけではありません。
保存療法でも手術療法でも、骨癒合の進み方には個人差があります。痛み、画像所見、競技種目、復帰時期を確認しながら治療方針を決めることが大切です。
Jones骨折のリハビリテーション
治療方針の決定と同じくらい、リハビリテーションも重要です。
Jones骨折は、くり返される負担によって発生することが多いため、復帰後に同じ負担がかかり続けると再発リスクが高くなります。
リハビリのポイントは、「骨の癒合を妨げないこと」と「外側荷重の改善」です。
骨の治癒を助けるために考えたいこと
Jones骨折では、骨癒合を促すために、医師の判断のもとで栄養状態、治療機器、荷重管理などを検討することがあります。
ビタミンD
第5中足骨疲労骨折では、血中25-ヒドロキシビタミンD濃度の低下との関連が報告されています[2]。
ビタミンDは骨の健康に関わる栄養素のひとつです。必要に応じて血液検査で状態を確認し、食事、日光曝露、サプリメントなどを医師や管理栄養士と相談しながら調整することがあります。
食事では、魚類、きのこ類、卵類などにビタミンDが含まれます。ただし、自己判断で過剰にサプリメントを摂取するのではなく、必要量を確認しながら行うことが大切です。

超音波骨折治療法(LIPUS)
LIPUS(Low Intensity Pulsed Ultrasound:低出力超音波パルス)は、骨折治療の補助として用いられることがある治療機器です。
ただし、LIPUSの効果については骨折の種類や状況によって解釈が分かれるため、使用するかどうかは医師の判断に従いましょう[3]。
通常の超音波治療器とは設定や目的が異なるため、骨折治療に用いる場合は医療機関で確認することが重要です。
さまざまな企業からLIPUSの機器が出ています。基本的には医療機関に通院して使用しますが、施設によっては貸出可能な機器がある場合もあります。
体外衝撃波治療(ESWT)
体外衝撃波治療(extracorporeal shock wave therapy:ESWT)は、難治性の骨折や偽関節に対して検討されることがある治療法です[4]。
ただし、Jones骨折すべてに一般的に行われる治療ではありません。適応、費用、使用できる施設、治療回数などは医療機関によって異なります。
希望する場合は、Jones骨折の状態に対して適応があるかどうかを専門医に確認しましょう。
Jones骨折の術後・保存療法中のリハビリテーション
ここでは、手術後をイメージしながらリハビリの流れを説明します。
保存療法の場合も、医師から許可されている段階までは同じような考え方でリハビリを進めます。
期間はあくまで目安です。実際には、骨癒合、痛み、圧痛、画像所見、担当医の指示に従って進めましょう。
- 腫れ・痛みが悪化していない
- 第5中足骨部の圧痛が悪化していない
- 荷重時痛が悪化していない
- リハビリ中、リハビリ後、当日夜、翌日朝に痛みが増えていない
- 骨癒合の状態が画像で確認されている
- 担当医から次の段階への許可が出ている
非荷重期:手術後〜約3週間
- 足首の可動域を保つ
- ふくらはぎ、踵周囲、足底周囲を硬くしすぎない
- 足趾、ふくらはぎの筋力低下を防ぐ
- 体幹とお尻の筋肉を鍛える
- 免荷指示を守り、骨癒合を妨げない
リハビリ初期:荷重開始〜ジョギング前
- 足首の可動域を改善する
- 足趾、ふくらはぎの筋力を回復する
- 体重をかけたスクワット系エクササイズを開始する
- カーフレイズは痛みや許可に応じて段階的に進める
- 母趾球荷重を意識し、外側荷重を減らす
- 体幹とお尻の筋力を高める
リハビリ中期:ジョギング開始時期
- 体重をかけた筋力トレーニングを段階的に強くする
- ホップなどの軽いジャンプ動作を開始する
- ジョギングを短い距離・低い強度から開始する
- 直線のランニングスピードを少しずつ上げる
- ランニング後と翌日の痛みを確認する
- 画像所見と痛みを確認しながら進める
ジョギングを開始する前には、以下を確認しておきたいです。
- 歩行痛がない
- 第5中足骨部の圧痛がない、または悪化しない
- 片足カーフレイズで痛みが出ない
- 軽いホップで痛みが出ない
- 足部が外側荷重になりすぎない
- 担当医からランニング開始の許可が出ている
リハビリ後期:横方向の動き・ジャンプを増やす時期
- ステップワークを開始する
- ジャンプ、着地、切り返し動作を段階的に行う
- アジリティトレーニングを行う
- 外側荷重にならないフォームを確認する
- スパイクや競技シューズで痛みが出ないか確認する
- 運動後と翌日の圧痛を確認する
復帰期:競技復帰を進める時期
- リアクション動作を開始する
- 対人動作を段階的に行う
- 練習への部分参加から開始する
- 1〜2週間ほどかけて段階的に練習量を増やす
- 復帰後も圧痛と荷重時痛を確認する
- 必要に応じてインソールやシューズを調整する
Jones骨折とインソール
スポーツ復帰で確認したいポイント
Jones骨折では、痛みが消えたことだけで復帰を判断するのは危険です。骨癒合、圧痛、荷重時痛、競技動作の安定性を確認しながら復帰を進める必要があります。
- 画像で骨癒合が確認されている
- 第5中足骨部の圧痛がない
- 歩行痛がない
- 片足カーフレイズで痛みがない
- ジャンプやホップで痛みがない
- 切り返し動作で外側荷重になりすぎない
- スパイクや競技シューズで痛みが出ない
- 練習後・翌日に痛みが戻らない
よくある質問
Jones骨折は必ず手術が必要ですか?
必ず手術が必要とは限りません。ただし、Jones骨折は治りにくい骨折として知られており、スポーツ選手では手術療法が選択されることがあります。骨折の状態、競技レベル、復帰時期、本人の希望を踏まえて専門医と相談しましょう。
ヒビならプレーを続けてもよいですか?
自己判断でプレーを続けるのは避けましょう。ヒビの段階でも、競技中に完全骨折へ進行する可能性があります。プレー継続の可否は、画像所見、痛み、競技レベルを踏まえて医師の管理下で判断します。
復帰までどれくらいかかりますか?
治療法、骨折の状態、骨癒合の進み方、競技種目によって異なります。手術後に数か月で復帰を目指すケースもありますが、保存療法ではより長くかかる場合もあります。期間だけでなく、骨癒合と症状を確認して進めることが重要です。
ビタミンDは摂った方がよいですか?
ビタミンDは骨の健康に関わりますが、自己判断で過剰摂取する必要はありません。必要に応じて血液検査で状態を確認し、医師や管理栄養士と相談して補正するのが安全です。
LIPUSや体外衝撃波は必要ですか?
必要かどうかは骨折の状態や治療方針によります。補助的な治療として検討されることがありますが、全員に必要なものではありません。使用する場合は、専門医の判断に従いましょう。
インソールは作った方がよいですか?
外側荷重のクセがある選手では、インソールが再発予防に役立つことがあります。ただし、足に合わないインソールは荷重を偏らせる可能性もあるため、専門家に相談して作成・調整することをおすすめします。
まとめ
ここまで、Jones骨折の治療方針やリハビリテーションについて解説しました。
Jones骨折は、第5中足骨近位部に生じる治りにくい骨折で、サッカーやバスケットボールなど切り返し動作の多いスポーツで問題になりやすいケガです。
治療方針は、保存療法、手術療法、競技制限などを含めて慎重に決める必要があります。
復帰を目指すうえでは、骨癒合だけでなく、外側荷重の改善、足首・足部の安定性、競技動作の確認が重要です。
Jones骨折は再発にも注意が必要なケガです。専門医と連携しながら、焦らず段階的にリハビリとスポーツ復帰を進めていきましょう。
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参考文献
[1]Mologne TS et al. Early screw fixation versus casting in the treatment of acute Jones fractures. Am J Sports Med. 2005;33(7):970-975. PubMed ID: 15888715
[2]Shimasaki Y et al. Evaluating the Risk of a Fifth Metatarsal Stress Fracture by Measuring the Serum 25-Hydroxyvitamin D Levels. Foot Ankle Int. 2016;37(3):307-311. PubMed ID: 26596794
[3]Poolman RW et al. Low intensity pulsed ultrasound (LIPUS) for bone healing: a clinical practice guideline. BMJ. 2017;356:j576. PubMed ID: 28228381
[4]Alkhawashki HM. Shock wave therapy of fracture nonunion. Injury. 2015;46(11):2248-2252. PubMed ID: 26323379


