SLJ病の症状・原因・リハビリ|成長期の膝前面痛

今回はシンディング-ラーセン-ヨハンソン病(Sinding-Larsen-Johansson disease:SLJ病)について書いていきます。

SLJ病は、スポーツをしている成長期の選手に起こりやすい膝の前側の痛みです。

オスグッド病と似ていますが、痛みが出る場所は「膝下の骨」ではなく、お皿の骨(膝蓋骨)の下側です。

裂離を伴う場合は復帰に時間がかかることもあるため、痛みを我慢してプレーを続けず、状態を確認しながら進めることが大切です。

 

この記事でわかること

  • SLJ病とはどのようなケガか
  • SLJ病とオスグッド病・ジャンパー膝との違い
  • SLJ病の原因と起こりやすい動き
  • SLJ病の症状とセルフチェック
  • 病院で行う検査と受診の目安
  • リハビリとスポーツ復帰の考え方

 

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SLJ病とは?

SLJ病とは、成長期のスポーツ選手にみられる、膝蓋骨下縁、つまりお皿の骨の下側に起こる牽引性の骨端障害です。

膝蓋骨の下には膝蓋腱が付着しており、ジャンプやダッシュ、ストップ動作などで膝蓋腱を介した引っ張りストレスが繰り返し加わることで、膝蓋骨下縁に痛みや炎症、場合によっては裂離が生じることがあります[1]。

10〜14歳前後の成長期にみられることが多く、特にジャンプや走る動作が多い競技で問題になりやすいケガです[1]。

 

SLJ病 膝蓋骨下縁の痛み シンディングラーセンヨハンソン病
図1:SLJ病のイメージ図。お皿の骨(膝蓋骨)の下縁に痛みが出ます。

 

SLJ病は、成長期の膝前面痛としてオスグッド病ジャンパー膝と似た症状を示すことがあります。

ただし、痛みの場所が少し違います。

  • SLJ病:膝蓋骨の下縁が痛い
  • オスグッド病:脛骨粗面、つまり膝下の骨が痛い
  • ジャンパー膝:膝蓋腱そのもの、または膝蓋骨下縁〜膝蓋腱付着部が痛い

あきと
SLJ病は「膝のお皿の下が痛い成長期のスポーツ障害」と考えるとイメージしやすいです。ただし、ジャンパー膝やオスグッド病と似ているため、痛みの場所をしっかり確認することが大切です。

 

SLJ病の原因

SLJ病は、膝蓋腱を介して膝蓋骨下縁にくり返しストレスがかかることで発生すると考えられています。

成長期の骨は大人の骨よりも弱い部分があり、筋肉や腱の引っ張りが繰り返されることで痛みが出やすくなります。

SLJ病になりやすいシーン

SLJ病は、膝の前側に負担がかかる動作で痛みが出やすいです。

  • ジャンプ・着地
  • ダッシュ
  • ストップ動作
  • 方向転換動作
  • 階段昇降
  • スクワット動作

サッカー、バスケットボール、バレーボール、陸上競技など、走る・跳ぶ・止まる動作が多い競技でみられやすいです。

 

SLJ病 サッカー 成長期 膝の前側の痛み

SLJ病になりやすい人の特徴

SLJ病は、成長期という身体の特徴に加えて、筋肉の硬さや動き方、練習量などが関係して発生することがあります。

直接的な原因

  • 10〜14歳前後の成長期
  • 前ももの筋肉(大腿四頭筋)が硬い
  • 膝蓋骨まわりの動きが硬い
  • 膝前面に負担がかかる動作を繰り返している
大腿四頭筋は膝蓋骨を介して膝蓋腱につながっています。そのため、前ももの硬さや膝蓋骨まわりの動きの悪さがあると、膝蓋骨下縁へのストレスが増えやすくなります。

間接的な原因

  • 姿勢が崩れ、膝に負担がかかりやすい
  • 股関節がうまく使えていない
  • 体幹やお尻の筋力が弱い
  • ハムストリングスや股関節まわりが硬い
股関節や体幹がうまく使えないと、ジャンプや着地、ストップ動作の衝撃を膝で受けやすくなります。膝だけでなく、体幹・股関節・足首を含めてリハビリを考えることが大切です。

あきと
膝の痛みでも、原因が膝だけにあるとは限りません。成長期の選手では、練習量・柔軟性・動き方をまとめて確認することが大切です。

 

姿勢不良 膝前面痛 SLJ病 リハビリ

 

SLJ病のよくある症状

SLJ病では、以下のような症状が出ることがあります。

  • お皿の骨(膝蓋骨)の下縁を押すと痛い
  • 階段昇降が痛い
  • スクワットが痛い
  • ジャンプや着地で痛い
  • ダッシュやストップ動作で痛い
  • 前もものストレッチをすると痛い
  • 太ももに力を入れると痛い

初めのうちは、押した時の痛みだけの場合もあります。しかし、痛みを我慢してスポーツを続けると、症状が長引いたり、裂離が悪化したりする可能性があります。

早めに受診した方がよい症状

  • 歩くだけでも痛い
  • 膝の前側の腫れが強い
  • 押した痛みが日に日に強くなる
  • 安静にしていても痛い
  • 夜間痛がある
  • ジャンプや走行ができない
  • 2週間以上痛みが改善しない

これらの症状がある場合は、自己判断で運動を続けず、整形外科で相談しましょう。

似た部位に痛みが出るケガ

膝の前側の痛みは、SLJ病以外でも起こります。特に以下のケガとは痛みの場所が近いため、鑑別が必要です。

 

SLJ病のセルフチェック

セルフチェックは、痛みの場所や痛みが出る動きを整理するための目安です。強い痛みがある場合は無理に行わず、病院で評価を受けましょう。

チェック①:押した痛み

  1. 膝のお皿の下側を指で確認します。
  2. お皿の骨の下縁を軽く押します。
  3. ピンポイントで痛みが出る場合、SLJ病の可能性があります。

チェック②:スクワットでの痛み

  1. 両脚で軽くスクワットします。
  2. 膝の前側、お皿の下に痛みが出るか確認します。
  3. 痛みが強い場合は中止してください。

チェック③:太ももの収縮時痛

  1. 膝を伸ばした状態で、太もも前側に力を入れます。
  2. 膝蓋骨下縁に痛みが出るか確認します。

チェック④:前もものストレッチ痛

  1. 前もものストレッチを軽く行います。
  2. 膝のお皿の下に痛みが出る場合は、無理に伸ばさないようにしましょう。

あきと
痛みがある時期に無理なストレッチやジャンプ練習を続けると、症状が長引くことがあります。痛みが出るメニューは一度中止しましょう。

 

病院で行う検査

SLJ病が疑われる場合、病院では問診、触診、動作時痛の確認に加えて、必要に応じて画像検査を行います。

  • レントゲン検査:膝蓋骨下縁の裂離や骨片の有無を確認します。
  • エコー検査:膝蓋腱や膝蓋骨下縁周囲の状態を確認することがあります[2]。
  • MRI検査:痛みが強い場合や、他の膝前面痛との鑑別が必要な場合に検討されることがあります[1]。

SLJ病は、レントゲンだけでは判断が難しいこともあるため、痛みの場所・年齢・スポーツ歴・画像所見を合わせて総合的に判断します。

 

SLJ病 レントゲン 膝蓋骨下縁 裂離

 

SLJ病と診断されたら

SLJ病は、多くの場合、保存療法で改善を目指します。

基本は、痛みを悪化させる運動量を一時的に調整し、膝蓋骨下縁への負担を減らしながら、柔軟性・筋力・動作を改善していくことです[1]。

裂離が大きい場合や痛みが長引く場合は、スポーツ復帰まで時間がかかることがあります。骨の状態や復帰時期については、医師と相談しながら進めましょう。

あきと
SLJ病は焦って復帰すると痛みが戻りやすいケガです。痛みだけでなく、画像所見や医師の判断も確認しながら進めましょう。

 

SLJ病のリハビリテーション

SLJ病のリハビリでは、「運動量のコントロール」と「再発しないための身体機能づくり」が大切です。

特に、痛みがある時期にジャンプやダッシュを繰り返すと悪化しやすいため、まずは痛みを落ち着かせることを優先します。

スポーツ復帰の目安

SLJ病の復帰判断では、「痛みのチェック」と「骨の状態」を確認しながら進めます。

骨の状態は病院で確認する必要があるため、ここでは日常的に確認しやすい痛みのチェックを紹介します。

痛みのチェック
  1. 圧痛:膝蓋骨下縁を押した時の痛み
  2. 荷重時痛:両脚/片脚スクワットの痛み
  3. 収縮時痛:膝を伸ばしきって太ももに力を入れた時の痛み
  4. ストレッチ痛:前もものストレッチをした時の痛み

基本的には、これらの痛みが落ち着き、運動後や翌日に悪化しないことを確認しながら、段階的に復帰していきます。

ただし、裂離の有無や骨の状態によって復帰時期は変わるため、最終的な判断は医師やリハビリ担当者と相談しましょう。

あきと
「痛みがないこと」と「医師から運動再開の許可があること」の両方を確認してから、スポーツ復帰を進めましょう。

 

SLJ病 改善+再発予防のためのセルフエクササイズ

ここからは、SLJ病の改善と再発予防のためのセルフケアを紹介します。

痛みが強い時期は、まず運動量を調整し、膝蓋骨下縁への負担を減らすことが大切です。

リハビリを進めるためのチェックポイント

  • 運動中に痛みが強くならない
  • 運動後に痛みが悪化しない
  • 翌朝に痛みが増えていない
  • 押した痛みが日に日に強くなっていない

痛みや熱感が強い場合は、15〜20分程度のアイシングを検討してもよいですが、冷やしすぎには注意しましょう。

あきと
アイシングを行う場合は、長時間やりすぎないようにしましょう。皮膚の感覚が鈍い場合や強い痛みがある場合は、無理に続けず医療機関で相談してください。

 

具体的なリハビリエクササイズ方法を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

自宅でできるSLJ病のためのストレッチ

  • 前もものストレッチ
    → 膝蓋骨下縁への張力に関係しやすい部位です。痛みがある場合は無理に伸ばさず、軽くほぐす程度にしましょう。
  • 裏もものストレッチ
    → 骨盤や姿勢の改善に役立つことがあります。
  • お尻のストレッチ
    → 股関節の動きを改善し、膝への負担を減らす目的で行います。
  • 胸郭のストレッチ
    → 姿勢を整え、下肢の動きやすさを高める目的で行います。
ポイント
膝のお皿のすぐ上にある大腿四頭筋腱周囲が硬くなると、膝蓋骨下縁への負担が増えやすくなります。痛みが出ない範囲で、前もも周囲の柔軟性を整えましょう。

自宅でできるSLJ病のためのエクササイズ

  • 膝周囲の筋力トレーニング
    → 膝蓋骨まわりの安定性を高めます。
  • 殿筋の筋トレ
    → 股関節の安定性を改善し、膝の負担を減らします。
  • 体幹トレーニング
    → 姿勢や重心を安定させます。
  • 片脚スクワット
    → 片脚で荷重しても、膝が内側に入りすぎないように練習します。

あきと
痛みが出るメニューは無理せず中止しましょう。SLJ病では「頑張って乗り越える」よりも、「悪化させずに少しずつ戻す」ことが大切です。

 

SLJ病の復帰目安

SLJ病の復帰時期は、痛みの強さ、裂離の有無、骨の状態、競技レベルによって変わります。

目安としては、以下を確認しながら段階的に進めます。

  • 歩行や階段で痛みがない
  • 膝蓋骨下縁の圧痛が落ち着いている
  • スクワットで痛みが出ない
  • ジャンプ・着地で痛みが出ない
  • 運動後〜翌朝に痛みが悪化しない
  • 医師から運動再開の許可がある

走る、ジャンプする、方向転換する、対人プレーに戻る、という順番で少しずつ負荷を上げていきましょう。

 

よくある質問(FAQ)

Q1. SLJ病とオスグッド病は何が違いますか?

痛みが出る場所が違います。SLJ病はお皿の骨(膝蓋骨)の下縁、オスグッド病は膝下の骨(脛骨粗面)に痛みが出やすいです。どちらも成長期のスポーツ選手に起こりやすい牽引性の障害です。

Q2. SLJ病はどれくらいで治りますか?

軽症であれば数週間〜数か月で改善することもありますが、裂離がある場合や痛みを我慢してスポーツを続けた場合は長引くことがあります。復帰時期は痛みだけでなく、画像所見や医師の判断も大切です。

Q3. 痛みがあっても運動してよいですか?

痛みが強い運動や、運動後・翌日に痛みが悪化する運動は避けた方がよいです。特にジャンプやダッシュで痛みが増える場合は、運動量を下げてリハビリを優先しましょう。

Q4. ストレッチはしてもよいですか?

痛みが出ない範囲で行うことが基本です。前もものストレッチで膝のお皿の下に痛みが出る場合は、無理に伸ばさず、軽くほぐす程度にしましょう。

Q5. 病院では何科に行けばよいですか?

スポーツによる膝の痛みを相談できる整形外科、できればスポーツ整形外科で相談するとよいです。成長期の膝前面痛は、オスグッド病やジャンパー膝などとの鑑別も重要です。

 

まとめ

SLJ病は、成長期のスポーツ選手に起こりやすい、お皿の骨の下側の痛みです。

オスグッド病やジャンパー膝と似ていますが、痛みが出る場所や治療の考え方が少し異なります。

痛みを我慢してプレーを続けると長引くことがあるため、「痛みのチェック」と「骨の状態」を確認しながら、段階的に復帰することが大切です。

病院の先生と相談しながら、再発せずにスポーツ復帰を目指していきましょう。

 

あきと
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参考文献

[1]Wilczyński B et al. Sinding-Larsen-Johansson disease. Clinical features, imaging findings, conservative treatments and research perspectives: a scoping review. PeerJ. 2024;12:e17996. PubMed ID: 39346060

[2]De Flaviis L et al. Ultrasonic diagnosis of Osgood-Schlatter and Sinding-Larsen-Johansson diseases of the knee. Skeletal Radiol. 1989;18(3):193-197. PubMed ID: 2665105

[3]Valentino M et al. Sinding-Larsen-Johansson syndrome: A case report. J Ultrasound. 2012;15(2):127-129. PubMed ID: 23396672

[4]Medlar RC et al. Sinding-Larsen-Johansson disease. Its etiology and natural history. J Bone Joint Surg Am. 1978;60(8):1113-1116. PubMed ID: 721864

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