足舟状骨疲労骨折とは?足の甲内側の痛み・検査・治療・リハビリを解説

今回は足舟状骨疲労骨折(navicular stress fracture)について解説します。

舟状骨疲労骨折は、足の甲の中央〜やや内側にある舟状骨に繰り返し負担がかかることで生じる疲労骨折です。走る・ジャンプする動作が多いスポーツ選手にみられ、運動すると足の甲が痛む、休むと軽くなるものの練習を再開すると再び痛む、といった経過をとることがあります。

舟状骨は骨癒合に注意が必要な部位であり、早期の評価と適切な治療が重要な疲労骨折です。初期にはX線検査だけでは確認しにくいこともあるため、痛みが続く場合は慎重に評価する必要があります。

 

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舟状骨疲労骨折とは?

足の舟状骨疲労骨折とは、足の甲の中央〜内側にある舟状骨に、繰り返しの負荷によって骨ストレスが蓄積し、骨の中に損傷や骨折線が生じた状態です(図1)。

舟状骨は足部アーチを構成する重要な骨で、ランニングやジャンプなどで圧縮力や剪断力が繰り返し加わります。陸上競技、サッカー、バスケットボールなど、走行量やジャンプ量が多い競技でみられることがあります[3]。

舟状骨の位置を示した足部イラスト
図1:舟状骨は足の甲の中央〜内側にあります。

発症には単一の原因だけでなく、急激な練習量の増加、繰り返すランニングやジャンプ、足関節・足部の機能など複数の要因が関係します。また、疲労骨折全般では、十分なエネルギーを摂取できていない状態やRED-S(スポーツにおける相対的エネルギー不足)、栄養状態など、骨の健康に関係する要因も確認することが大切です[5]。

あきと
舟状骨疲労骨折は、痛みがそれほど強くない初期では見逃されることがあります。足の甲の痛みがランニングのたびに繰り返す場合は、単なる使いすぎと決めつけずに確認することが大切です。

舟状骨疲労骨折のタイプ分類

舟状骨疲労骨折は、MRIやCTなどの画像所見によって分類されることがあります。Saxenaらはアスリートの舟状骨疲労骨折を分類し、骨折タイプと治療成績について報告しています[1]。

以下の画像は、Saxena A et al. 2017[1]より引用しています。

タイプ分類 画像所見 説明
タイプ0.5 舟状骨疲労骨折タイプ0.5のMRI画像

CTでは明らかな骨折線を認めない

MRIでは骨髄浮腫などの骨ストレス反応を認める

タイプ1 舟状骨疲労骨折タイプ1のCT画像 舟状骨の背側皮質に骨折線がみられる
タイプ2 舟状骨疲労骨折タイプ2のCT画像 骨折線が背側皮質から舟状骨内部まで及ぶ
タイプ3 舟状骨疲労骨折タイプ3のCT画像 骨折線が舟状骨内部を貫き、反対側の皮質まで達する

あきと
CTで骨折線がはっきりしない段階でも、MRIでは骨の中のストレス反応が確認されることがあります。症状と画像検査を組み合わせて評価することが大切です。

主な症状と受診の目安

舟状骨疲労骨折では、足の甲の中央〜やや内側に痛みが出ることが多く、ランニングやジャンプなど負荷の高い動作で症状が強くなる傾向があります。

診察では、舟状骨背側の限局した部位を押したときの圧痛(いわゆるN-spot tenderness)が手がかりのひとつになります。ただし、圧痛だけで舟状骨疲労骨折を自己診断することはできません。

舟状骨疲労骨折でみられることがある症状

  • 足の甲の中央〜内側を押すと痛い
  • 走ると足の甲が痛む
  • ジャンプやつま先立ちで痛む
  • 休むと軽くなるが、運動を再開すると痛みが戻る
  • 症状が強くなると歩行でも痛む

足の甲の痛みは舟状骨疲労骨折だけで起こるわけではありません。有痛性外脛骨後脛骨筋腱炎中足骨疲労骨折リスフラン関節捻挫足関節捻挫後の痛みなどが関係する場合もあります。

舟状骨疲労骨折で圧痛が出やすい足の甲内側の部位
図2:舟状骨疲労骨折で圧痛がみられやすい部位。

 

受診を検討したい症状

  • ランニングをすると足の甲の痛みが繰り返し出る
  • 舟状骨周辺の限局した圧痛が続いている
  • 休むと軽くなるものの、練習再開で痛みが戻る
  • 歩行でも痛みが出るようになった
  • X線で異常なしと言われても痛みが続いている

舟状骨疲労骨折は早期に診断して治療を開始することが重要です。痛みを我慢しながらランニングやジャンプを続けず、症状が続く場合はスポーツ整形外科などで相談することを検討してください。

病院で行う検査

病院では、痛みが出る場所や動作、症状が始まった時期、練習量の変化などを確認します。診察では舟状骨周囲の圧痛や歩行時の症状などを評価し、必要に応じて画像検査を行います。

X線検査は最初に行われることが多い検査ですが、初期の舟状骨疲労骨折では骨折線が写らないことがあります。de Clercqらの報告でも、初回X線では見逃される例があることが示されています[2]。

MRI検査は、明らかな骨折線が形成される前の骨髄浮腫や骨ストレス反応を確認するために役立ちます。一方、CT検査は骨折線の位置や広がり、骨硬化などの状態を詳しく確認するために有用で、治療方針や骨癒合の評価にも使用されます[1]。

あきと
「レントゲンで異常がなかったから大丈夫」とは限りません。足の甲の痛みがランニングのたびに繰り返す場合や、圧痛が続く場合は、MRIやCTが必要か担当医に相談してみましょう。

舟状骨疲労骨折の治療

舟状骨疲労骨折の治療は、骨折タイプ、骨折線の広がり、転位の有無、骨硬化などの画像所見、症状が続いている期間、競技レベルなどを踏まえて決めます。大きく分けると、保存療法手術療法があります。

保存療法では、舟状骨への負担を減らして骨癒合を促すため、一定期間の非荷重や固定が行われます。早期の骨ストレス障害や、骨折の状態から保存療法が適切と判断された場合に選択されます。

手術療法では、スクリュー固定などによって骨折部を安定させ、必要に応じて骨移植が行われることがあります。骨折線が深いタイプ、慢性化した例、骨癒合が得られにくい例、高い競技レベルへの復帰を目指すアスリートなどでは、手術がより積極的に検討されることがあります[4-6]。

近年のレビューでは、特にSaxena type 2・3の高レベルアスリートでは手術療法を考慮する報告がありますが、すべての選手に手術が必要という意味ではありません[5]。保存療法と手術療法にはそれぞれ利点と注意点があるため、画像所見や競技復帰の目標も含めて専門医と相談することが大切です。

あきと
痛みが軽くなっても、骨が十分に治っているとは限りません。荷重やランニングを再開する時期は、症状だけで決めず、画像所見や担当医の判断を確認しながら進めていきましょう。

舟状骨疲労骨折のリハビリテーション

舟状骨疲労骨折のリハビリでは、まず骨癒合を優先することが基本です。そのうえで、荷重、筋力トレーニング、ランニング、競技動作へ段階的に進めます。

保存療法と手術療法では荷重開始時期や運動制限が異なるため、手術後は執刀医・主治医のプロトコルを優先してください。具体的なリハビリメニューは、以下の記事も参考にしてください。

保護・免荷期

  • 医師の指示に沿って免荷や固定を行い、骨折部を保護する
  • 許可された範囲で足関節・足趾の動きを維持する
  • 患部へ負担をかけない範囲で体幹・股関節などをトレーニングする

荷重再開〜基本動作

  • 医師の許可に合わせて段階的に荷重量を増やす
  • 足関節の可動域や足部機能、下肢の筋力を確認する
  • 両脚スクワットなどから始め、片脚動作へ段階的に進める

ランニング再開に向けた段階

  • 歩行や日常生活で症状がないことを確認する
  • カーフレイズや軽いジャンプなど、負荷の高い動作を段階的に確認する
  • 主治医からランニング再開の許可を得て、短時間・低強度のジョギングから始める
  • 運動中だけでなく運動後や翌日の圧痛・痛みも確認する

舟状骨疲労骨折では、「○週経ったから次の段階へ進む」という期間だけの判断ではなく、骨癒合の状態、圧痛、歩行や運動時の反応などを確認して負荷を上げていくことが大切です。

スポーツ復帰で確認したいポイント

スポーツ復帰では、ジョギングができるようになった後に、ランニング速度、スプリント、ジャンプ、方向転換、競技練習へと負荷を段階的に戻していきます。

舟状骨疲労骨折に対する復帰基準は、骨折タイプや治療方法、競技レベルによって異なるため、一律の期間だけで判断することはできません。必要に応じてCTなどで骨癒合を確認しながら、主治医やリハビリスタッフと復帰時期を判断します。

スポーツ復帰前に確認したいこと

  • 画像所見を含めて主治医から競技復帰の許可が出ている
  • 歩行や日常生活で痛みがなく、舟状骨周囲の圧痛が再燃していない
  • ランニング、ジャンプ、方向転換など必要な競技動作を段階的に行えている
  • 運動後や翌日に痛みや圧痛が戻らない
  • 練習量や強度を段階的に増やせている

2025年の国際コンセンサスでは、手術を受けたエリートアスリートのフルスポーツ復帰について、おおむね4〜6か月が目安として示されています[6]。ただし、これはすべての舟状骨疲労骨折に当てはまる期間ではなく、骨折タイプ、治療方法、骨癒合の進み方、競技特性によって復帰時期は異なります。

復帰後は急激に練習量を増やさず、ランニング量、スピード、ジャンプ量などを段階的に戻します。また、発症背景に応じて、足関節・足部の機能、下肢筋力、トレーニング負荷、シューズ、栄養・エネルギー摂取などを見直します。インソールも必要に応じて検討されますが、すべての選手に必要なものではありません。

あきと
競技に戻れた後も、練習後や翌日の圧痛は確認しておきましょう。痛みが戻る場合はそのまま負荷を上げず、練習量を調整して担当医や専門家へ相談することが大切です。

まとめ

  • 舟状骨疲労骨折は、ランニングやジャンプで足の甲に痛みが出るアスリートで注意したい疲労骨折です。
  • 初期にはX線で確認できないことがあるため、症状が続く場合はMRIやCTを含めた評価が検討されます。
  • 治療方法は骨折タイプや競技レベルによって異なり、骨癒合を優先しながら段階的にリハビリを進めます。
  • スポーツ復帰は痛みの有無だけでなく、画像評価、競技動作、運動後・翌日の反応を含めて判断することが大切です。

参考文献

[1]Saxena A et al. Navicular Stress Fracture Outcomes in Athletes: Analysis of 62 Injuries. J Foot Ankle Surg. 2017;56(5):943-948. PubMed ID: 28842101

[2]de Clercq PFG et al. Stress fracture of the navicular bone. Acta Orthop Belg. 2008;74(6):725-734. PubMed ID: 19205318

[3]Jones MH, Amendola A. Navicular stress fractures. Clin Sports Med. 2006;25(1):151-158. PubMed ID: 16324981

[4]Attia AK et al. Return to sport following navicular stress fracture: a systematic review and meta-analysis of three hundred and fifteen fractures. Int Orthop. 2021;45(10):2699-2710. PubMed ID: 34415421

[5]Modica AS et al. Review of Current Management of Navicular Stress Fractures in Athletes. Sports Health. 2026;18(5):950-959. PubMed ID: 41877518

[6]Webber KJ et al. Navicular fractures in elite athletes-2025 International Foot and Ankle Sports Consensus and systematic review. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2026;34(9):3162-3177. PubMed ID: 41451754

 

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