ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)の原因と治し方|症状・検査・リハビリまでわかりやすく解説

今回はゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)について、症状・検査・治療・リハビリの流れをわかりやすく解説していきます。

ゴルフ肘は、ゴルフなどの上肢で道具を操作するスポーツや、手首を繰り返し使う作業で起こりやすい肘の障害です。

痛みを感じる位置が肘内側側副靱帯損傷尺骨神経由来の痛みと近いため、しっかり鑑別しながらリハビリを進めていく必要があります。

今回はそんなゴルフ肘について解説していきます。

この記事でわかること
✅ ゴルフ肘とは何か
✅ 起こりやすい場面とよくある症状
✅ 病院で行う検査
✅ リハビリの流れ
✅ 受診の目安と復帰の考え方

 

肘の痛みは原因によって対処法が異なるため、全体像を知りたい方は肘の痛みの原因まとめもあわせてご覧ください。

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ゴルフ肘とは?

ゴルフ肘は上腕骨内側上顆炎と呼ばれ、肘の内側の骨に付着している筋肉や腱の付着部に痛みが生じる状態を指します(図1)。

上腕骨内側上顆には、手首を曲げる筋肉(手根屈筋群)や前腕を回す筋肉(回内筋)などが付着しているため、繰り返しの負荷で症状が出やすくなります。

一般には「炎症」と表現されることが多いですが、実際には慢性化した例では腱の変性を伴う腱症としてみられることもあります[1]。

 

ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)のイメージ図|手根屈筋群と回内筋群の付着部に負荷がかかる様子
図1:ゴルフ肘のイメージ図。上腕骨内側上顆に付着する手根屈筋群や回内筋群に繰り返し負荷がかかることで、肘の内側に痛みが生じます。

 

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)より頻度は低いですが、上顆炎の10〜20%を占め、利き手に多く発生すると報告されています[2]。

 

ゴルフ肘を起こしやすいシーン

その名の通り、ゴルフ選手のほか、野球の投手、やり投げ選手など、上肢で道具を操作したり手首を強く使ったりするスポーツで起こりやすいです。

一方で、スポーツ以外でも、建設業や反復作業の多い仕事などで起こることがあります[2]。

ゴルフスイングで前腕に負荷がかかる場面

 

ゴルフ肘のよくある症状

・肘の内側の出っ張り部分が痛い/腫れている(図2)
・手首に力を入れると痛い
・重いものを持つと痛い
・肘を伸ばしきると痛い(症状が強いとき)
・スイングや投球のあとに内側がジンジンする
物を持ったときや、手首に力が加わったときの肘内側の痛みが特徴的です。
あきと

あきと
炎症が強い時期は、肘を伸ばすだけでも痛みを感じることがあります。
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)の痛みの部位|肘内側の出っ張りに生じる痛み
図2:ゴルフ肘の痛みが出る部位のイメージ図。肘内側の出っ張り部分(上腕骨内側上顆)に痛みが生じます。

 

セルフチェックの目安

次のような所見があると、ゴルフ肘の可能性があります。

  • 肘内側の骨の出っ張りを押すと痛い
  • 手首を曲げる、または前腕を内側にひねると肘内側が痛い
  • バッグやクラブなどを持つと痛い

ただし、同じ部位の痛みでも、肘内側側副靱帯損傷尺骨神経障害などでは対応が変わるため、自己判断しすぎないことが大切です。

 

早めに受診したいサイン

  • しびれが続く、または小指側に広がる
  • 握力が落ちた感じがある
  • 肘を動かすと引っかかる、ロックする感じがある
  • 強い腫れや熱感がある
  • 安静にしていても痛い、夜も痛い

このような場合は、腱の問題だけでなく、神経や靱帯、関節内の障害が関係していることもあるため、早めに整形外科で相談しましょう。

 

病院で行う検査

MRI検査エコー検査によって、上腕骨内側上顆付着部の炎症や腱の変性の有無を確認します[3]。

また、レントゲン検査によって肘関節の変形性変化や石灰化などの有無を確認します。

一般的には、問診(けがをした状況やスポーツ・作業量の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(伸張時痛、収縮時痛の確認)などを行います。

 

ゴルフ肘と診断されたら

基本的には保存療法を行います。多くの症例では、活動量の調整、ストレッチ、段階的な筋力強化などの保存的治療で改善が期待できます[4]。

スポーツ復帰するときは、「肘内側の筋肉の硬さが残っていないか」「肘の曲げ伸ばしは正常か」「肘に負担がかかる動作になっていないか」を確認していきます。

以下に、保存療法のリハビリテーションの流れを書いていきます。

 

ゴルフ肘のリハビリテーション

基本的には保存療法でリハビリを行い、復帰を目指します。

ここでは中等度の炎症をイメージして流れを記載しています。

期間は目安ですので、自分に合った進め方をしましょう。

リハビリを進めるためのチェックポイント!
✅ 腫れ・痛みが悪化していないこと!
リハビリの負荷を上げた時に、「リハビリ中」「リハビリ後」「翌日朝」の悪化がなければひとつの目安です。
✅ 肘の曲げ伸ばしがスムーズで左右差がない
✅ 肘の内側の筋肉が硬すぎない
✅ 肩甲骨・体幹が安定している
✅ 痛みの原因となった動作が安定していて良いフォームである
炎症期(受傷後3日ほど)
・RICE処置
・前腕内側の筋肉を痛みのない範囲で軽くケアする
・肩甲骨周囲のエクササイズ
あきと

あきと
RICE処置は大切です。
肘の内側には尺骨神経が走行していますので、アイシングや圧迫中にしびれが出たらすぐに中止しましょう。
リハビリ前期(3日〜2週)
・肘の屈曲・伸展可動域を改善する(←周囲の筋肉のケアやストレッチ)
・肩甲骨・体幹の筋トレ(←体幹と肩甲骨周囲筋の筋トレ)
あきと

あきと
肘の屈曲・伸展可動域の左右差を小さくすることが大切です。
リハビリ中期(2週〜4週)
・肘内側の筋トレ(←手首の掌屈、前腕の回内エクササイズ)
・肩甲骨・体幹の筋トレをレベルアップする
・シャドーで競技フォームのチェックを行う
あきと

あきと
★肘の曲げ伸ばしOK
★肘に力を入れても痛くない
そうなったらフォームチェックを開始しましょう!
リハビリ後期(3週〜6週)
・体重をかけたエクササイズを行う(←四つ這いや腕立て伏せなど)
・段階的に痛めた動作をスタートする(←投球・投擲・スイング練習など)
あきと

あきと
肘に負担がかかっていないか、フォームは要チェックです!
復帰期(4〜8週)
・1〜2週間かけて段階的に練習へ参加しましょう
あきと

あきと
練習後にアイシング肘の曲げ伸ばしチェックを行うと変化に気づきやすいです。
肘が伸びにくい場合は、無理をせず周囲の筋肉を整えてから次の練習に取り組みましょう。

 

復帰の目安

スポーツ復帰は、単に痛みが減っただけでなく、次のような点を確認しながら進めます。

  • 日常生活で痛みがほとんどない
  • 肘の曲げ伸ばしに左右差が少ない
  • 手首に力を入れても痛みが強くならない
  • フォームチェックで明らかな負担動作がない
  • リハビリ後や翌日に悪化しない

 

よくある質問

ゴルフをしていなくてもゴルフ肘になりますか?

はい。ゴルフ以外にも、投球、投擲、ラケットスポーツ、仕事での反復作業などでも起こります。

温めた方がいいですか?冷やした方がいいですか?

受傷直後で熱感や腫れがある時期は、冷却で症状が楽になることがあります。慢性化した例では温めたり軽く動かしたりした方が楽なこともありますが、悪化するなら無理に続けないようにしましょう。

しびれがある場合もゴルフ肘ですか?

尺骨神経由来の症状など、別の問題が関係している可能性があります。しびれが続く場合は早めに受診しましょう。

 

まとめ

ここまで、ゴルフ肘の方針やリハビリテーションについて書いてきました。

ゴルフ肘は痛みが残りやすいケガですが、活動量の調整と段階的なリハビリを行うことで改善が期待できます。

ただし、しびれや握力低下がある場合は他の病態も考えながら評価が必要です。基本をしっかりおさえながら復帰していきましょう。

肘の痛み全体について理解を深めたい方は、肘の痛みの原因まとめページもあわせてご確認ください。

あきと

あきと
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参考文献

[1]Amin NH et al. Medial epicondylitis: evaluation and management. J Am Acad Orthop Surg. 2015;23(6):348-355. PubMed ID: 26001427

[2]Shiri R et al. Prevalence and determinants of lateral and medial epicondylitis: a population study. Am J Epidemiol. 2006;164(11):1065-1074. PubMed ID: 16968862

[3]Shahabpour M et al. The effectiveness of diagnostic imaging methods for the assessment of soft tissue and articular disorders of the shoulder and elbow. Eur J Radiol. 2008;65(2):194-200. PubMed ID: 18312783

[4]Ciccotti MC et al. Diagnosis and treatment of medial epicondylitis of the elbow. Clin Sports Med. 2004;23(4):693-705. PubMed ID: 15474230

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