
今回はテニス肘(上腕骨外側上顆炎)について、症状・検査・治療・リハビリの流れをわかりやすく解説していきます。
テニス肘は、その名の通りテニス選手に多くみられますが、スポーツをしていない一般の方にも起こりやすい肘の障害です。
物を持つ、タオルを絞る、パソコン作業をするなど、日常生活の動作で肘の外側に痛みが出ることもあります。
肘の痛みは原因によって対処法が異なるため、全体像を知りたい方は肘の痛みの原因まとめもあわせてご覧ください。
この記事でわかること
✅ テニス肘とは何か
✅ 起こりやすい場面とよくある症状
✅ セルフチェックの目安
✅ 病院で行う検査
✅ リハビリと復帰の考え方
目次
テニス肘とは?
テニス肘は、肘の外側の出っ張りである上腕骨外側上顆の周囲に痛みが出る状態を指します。
正式には上腕骨外側上顆炎と呼ばれていますが、実際には慢性化した例では単純な炎症だけでなく、腱の変性を含む腱症としてみられることもあります[1]。
上腕骨外側上顆には、短橈側手根伸筋、長橈側手根伸筋、総指伸筋などの筋肉が付着しています。これらの筋肉に繰り返し負荷がかかることで、肘外側に痛みが出やすくなります。

テニス肘を起こしやすいシーン
テニス肘という名前の通り、テニスのバックハンドなど、手首を反る方向への運動を繰り返すことで起こりやすいとされています[2]。
また、日常生活でも重たい物を持つ、タオルを絞る、パソコン作業やピアノなどで手首や指を繰り返し使うことで痛みが出ることがあります。

テニス肘のよくある症状
物を持つとき、物を握るときの肘外側の痛みが特徴的です。
特に、手の甲を上に向けた状態で物を握ると痛みが誘発されやすくなります。
また、タオルを絞る、ドアノブを回す、ペットボトルを持ち上げる、キーボードやマウス操作を続けるといった動作で痛みが出ることもあります。
物を握らなくてもズキズキ痛むなど、安静時痛がある場合は炎症が強い、もしくは神経や関節内の問題が関係している可能性もあります。
セルフチェックの目安
次のような所見があると、テニス肘の可能性があります。
- 肘外側の骨の出っ張りを押すと痛い
- 手首を反らすと肘外側が痛い
- 物を握る、持ち上げると痛い
- タオルを絞る、ドアノブを回す動作で痛い
ただし、同じ肘外側の痛みでも、神経由来の痛みや関節内の問題が隠れていることがあります。肘の痛み全体を整理したい方は、肘の痛みの原因まとめも参考にしてください。
早めに受診したいサイン
- しびれがある、手指まで症状が広がる
- 握力が落ちた感じがある
- 肘を動かすと引っかかる、ロックする感じがある
- 強い腫れや熱感がある
- 安静にしていても痛い、夜も痛い
このような場合は、テニス肘以外の原因も考えながら評価する必要があります。早めに整形外科で相談しましょう。
病院で行う検査
基本的には、問診や診察でテニス肘が疑われます。
エコー検査では腱の状態を確認でき、症状が強い場合や他の病態との区別が必要な場合はMRI検査を行うこともあります[1]。
また、レントゲン検査で上腕骨外側上顆の不整や石灰化、関節内の変化がないか確認することもあります。
画像検査のほかには、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(Thomsenテスト、Chairテスト、中指伸展テスト)などを行います。
テニス肘と診断されたら
基本的には保存療法でリハビリを行います。運動療法や理学療法は、テニス肘に対する保存療法として重要な選択肢です[3]。
リハビリを行っても効果が出にくい場合は、注射療法や手術療法が検討されることもあります。ただし、まずは痛みの程度や生活・スポーツでの負荷を調整しながら、段階的に進めていくことが大切です。
以下に、保存療法のリハビリテーションの流れを書いていきます。
テニス肘のリハビリテーション
基本的には保存療法でリハビリを行い、復帰を目指します。
期間は目安ですので、自分に合った進め方をしましょう。
✅ 患部の痛みを落ち着かせる
✅ 肘外側に負担がかかりすぎないグリップ動作を確認する
✅ 浅指屈筋・尺側手根屈筋など尺側支持に関わる筋肉を鍛える
✅ 肩甲骨が安定していて姿勢が良い
テニス肘では肘の外側に痛みが出ますが、グリップ動作で尺側の支持が低下すると、短橈側手根伸筋など肘外側の筋肉への負担が増えやすくなります。そのため、浅指屈筋や尺側手根屈筋などの機能を整えることも大切です。
日常生活で痛くなった方は、痛みを感じたあとのケアや負荷調整を意識しましょう。
・痛みのない範囲で尺側支持に関わる筋トレを行う(←浅指屈筋、尺側手根屈筋のエクササイズ)
・肩甲骨・体幹の筋トレを行う
肘の筋肉をケアしても、姿勢が崩れると肘への負担が戻りやすくなります。
・肩甲骨・体幹の筋トレをレベルアップする
難しいですが、確認しながらトライしましょう。
・段階的にスポーツ動作を開始する(←軽めのフォアハンドからスタート)
姿勢も常に良い状態を保ちましょう。
復帰の目安
スポーツや日常動作への復帰は、痛みが減っただけでなく、次のような点を確認しながら進めます。
- 日常生活で痛みがほとんどない
- 肘の曲げ伸ばしに左右差が少ない
- 物を握る・持ち上げる動作で痛みが強くならない
- グリップ動作が安定している
- 練習後や翌日に悪化しない
よくある質問
テニスをしていなくてもテニス肘になりますか?
はい。テニス以外にも、重い物を持つ作業、パソコン作業、楽器演奏、家事などでも起こることがあります。
温めた方がいいですか?冷やした方がいいですか?
痛みが強い時期や熱感がある場合は、冷却で症状が楽になることがあります。慢性的なこわばりが中心の場合は、温めたり軽く動かしたりした方が楽なこともあります。
痛みがあっても練習してよいですか?
痛みが強くなる、翌日に悪化する場合は負荷が高すぎる可能性があります。練習量や動作を調整し、必要に応じて専門家に相談しましょう。
まとめ
ここまで、テニス肘の方針やリハビリテーションについて書いてきました。
テニス肘はしっかりリハビリをしないと痛みが残りやすいケガですが、痛みのコントロール、グリップ動作、肩甲骨・体幹の安定性を整えることで改善が期待できます。
しびれや握力低下、肘のロッキング感がある場合は、テニス肘以外の原因も考えながら早めに評価を受けましょう。
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参考文献
[1]Ahmad Z et al. Lateral epicondylitis: a review of pathology and management. Bone Joint J. 2013;95-B(9):1158-1164. PubMed ID: 23997125
[2]Verhaar JA. Tennis elbow. Anatomical, epidemiological and therapeutic aspects. Int Orthop. 1994;18(5):263-267. PubMed ID: 7852001
[3]Landesa-Piñeiro L et al. Physiotherapy treatment of lateral epicondylitis: A systematic review. J Back Musculoskelet Rehabil. 2022;35(3):463-477. PubMed ID: 34397403

